インタビュー
【 社長インタビュー 】
持続的な成長 支え続け 〝共創〟課題解決の鍵に
2026年09月08日
トランストロン 山本 有輝 社長
デジタルタコグラフの主要メーカーとして、トラック運送業を支え続ける富士通グループのトランストロン(本社・横浜市)。事故防止や人手不足対策など、業界でさまざまな問題を抱える中、7月に就任した山本有輝社長は「製品・サービスの開発にとどまらず、ユーザーやパートナー企業と課題を共有し、持続的な成長と社会課題の解決に貢献したい」と話す。
――就任の抱負を。
山本 長年、ユーザーの声を真摯(しんし)に受け止め、製品・サービスに反映することで信頼関係を築き、約7700社・約29万台の稼働実績につなげてきた。今後も安心して使い続けてもらえる存在であり続けるとともに、課題を共有し、解決まで伴走するパートナーとして共に未来を切り開き、ユーザーの持続的な成長を支えたい。
――トラック運送業界の課題をどう見る。
山本 トラック運送はドライバーや運行管理者の人手不足、安全管理・法令対応への負担が増している。一方、物流は社会・経済を支える重要なインフラで、限られた人材でも持続的に事業を成長させられる環境づくりが大きな課題と考えている。
AI通じてサポートを進化
――どんな取り組みを通じてサポートする。
山本 当社は、運行データや現場の知見を活用し、安全管理、人手不足への対応、経営マネジメント(管理)の三つの観点から支援していく。現場と業務をITでつなぎ、AIも活用しながら、ユーザーの課題解決に伴走し、持続的な成長を支えるパートナーでありたい。一例として人手不足への対応では、外国人ドライバーの採用も見据え、AIによる多言語対応なども視野に入れながら、多様な人材が安心して働ける環境づくりを支援していきたい。
――今後どのようなサービスを展開する。
山本 9月にもAIアシスタントを展開する。これまでサポート窓口で問い合わせていた内容の多くを、AIが24時間いつでも迅速に対応できるようになる。AIで解決できない場合、対話履歴を引き継いだ上でコンタクトセンターがサポートする仕組みを実現した。AIと人の強みを組み合わせることで、ユーザーがより早く、より的確に課題を解決できるサポートへと進化させる。
――安全対策は。
山本 これまでも急ブレーキ多発マップや安全運転評価機能など、ユーザーの声を反映した安全運転支援機能を提供してきた。今後はAI画像解析や運行データ分析を活用し、居眠り・脇見・車間距離不足といったリスク検知、運行管理者の安全指導の高度化に取り組む。
関係者全体で問題乗り越え
――AIが今後のキーポイントに。
山本 近い将来、デジタコに外付けできるAIデバイス(機器)を投入し、デジタコを長く使い続けてもらいながら、機能を進化させたいと考えている。特定の機能を利用するためだけに、数年ごとに車載機を買い替えてもらうことはユーザーの大きな負担となる。
――仕組みを変える。
山本 将来的には当社のAI機能にとどまらず、さまざまな得意分野を持つ企業のAI機能もデバイス上で活用できるような発展性を持たせたい。業界全体の知見や技術を取り込み、安全性の向上、人手不足への対応、業務効率化といった課題に対し、関係者が力を合わせて乗り越えていける仕組みを目指す。
――ユーザーの選択肢を広げていく。
山本 運行支援サービスでは「ITP-WebMP(マーケットプレイス)」を運営している。運行データを外部サービスと連携し、現場で蓄積された情報を経営判断に活用できる仕組みを広げている。当社対応単独で解決が難しい課題については、パートナー企業のサービスも組み合わせ、一緒に解決することを目指す。
記者席 解決策、提案する企業へ
富士通に入社以来、製造業のデジタル活用支援などの業務を手掛けてきた。一方、常に隣にあったのが物流。この先を見据えた際、「デジタル化が進んでも、人が動き、モノを運ぶことはなくならない。物流を止めず動かし続けることが大切」との思いを強くした。
勉強熱心な性格で、月1回、社内で物流業界の課題と製品・サービスのつながりを確認し、解決に向けた議論を実施。常に高い目標を掲げ、ユーザーの声を聞かせてもらいながら、解決策を提案できる企業を目指す。
ユーザーの持続的な成長を支え続けることを最大の使命と位置付ける。目標達成のためには「業界・ユーザーを知り、話をすることで、相手からも話してもらえる関係を育てたい」とし、共創パートナーの地位を確立していく。
