インタビュー

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【 インタビュー 】

3本柱で〝五方良し〟実現 事故対策、さらに進め

2026年10月27日

全国トラック交通共済協同組合連合会 千原 武美 会長

 今年度、3本柱を事業方針に掲げる全国トラック交通共済協同組合連合会。特に注力する一つが事故防止対策で、今春には特別委員会を発足し、これまで以上にQRコードを活用した事故防止の取り組みを推進する。千原武美会長は「トラックを動かす以上、事故をなくさなければならない」とし、〝五方良し〟を目指し活動を加速させる。

 ――営業態勢の強化を柱の一つに据える。
 千原 対人・対物・車両・搭乗者共済を合わせた契約車両台数は、9月時点で前年同月比2・4%増の89万3667両と過去最高を更新した。共済掛金収入は同8・7%増の368億500万円だった。

特別委員会で取り組み推進

 ――交通共済への加入が増加した理由は。
 千原 各単協の営業努力が大きい。2024年からはテレビCMの全国放送を始め、世の中の認知度が高まると同時に、交通共済内でも営業態勢の強化という方針を見える化し、目標に向かって取り組むことができた。CM放送前の24年3月と比べると、契約車両台数は4万両以上、共済掛金収入は49億円以上増加した。
 ――課題はあるか。
 千原 トラック協会会員数に対する契約の割合で見ると、加入率は3割ほどしかない。認知度が向上するほど加入が増え、各単協のやる気も上がる。10年単位の時間はかかるだろうが、これからも増やしていきたい。
 ――事業方針の柱に事故防止対策も掲げる。
 千原 昨年6月から、QRコードを活用した対策に取り組んでいる。QRコード入りのステッカーを読み取ると、安全や運行管理などを解説する短時間の動画を視聴できる。出発前にひと息つく時間を設け、心穏やかに運転してもらい事故を防ぐ。

長年の課題にも新たな一手

 ――利用状況はどうか。
 千原 課題もある。このため、今春に活用の推進を目的とした特別委員会を発足。各単協がトップセールスを行い、組合員企業トップにQR動画活用の働き掛けを強化したり、視聴実績・事故率改善などの評価指標を基に優秀な活動を行う単協を表彰する。季節性を考慮した動画配信順の見直しも行った。
 ――活用により、組合員のメリットも高める。
 千原 動画視聴による安全の取り組みをGマーク(安全性優良事業所)の評価対象となるよう、全日本トラック協会に働き掛けている。交通共済として、物損事故の増加は大きな課題。近年は自転車との事故も増えつつある。組合員の中には、走行中の動画視聴を懸念する企業もあるが、それは企業が教育すべきこと。事故を減らすことができれば、各社への還元を高めることもできる。
 ――共済契約の流出抑制の対策も事業の柱に据えた。
 千原 事故を起こした組合員が損害保険会社に流出すると、残った契約者の負担が増し、公平性が保てなくなる。単協ごとの事情はあるが、交通共済を守るにはルールも必要になる。現在、専務理事会で検討しており、来年の総会前には基本的な方向性を示したい。
 ――今後は各単協のシステムの共通化にも取り組む。
 千原 将来的に各単協のシステムを同じ仕組みに合わせたいと考えている。共通化により、開発費をはじめとするコスト削減や業務の効率化が期待できる。各単協の更新時期に合わせて進めるため時間はかかるが、実現させたい。
 ――交協連として五方良しの目標も掲げた。
 千原 ドライバー・契約者・共済組合・地域、社会、国・荷主にとっての五方良しに取り組んでいく。取引先も含めて理解を深めるには、まず事故を無くすことが不可欠。交通共済があり続ける限り、この目標の達成に取り組み続けたい。

記者席 物流の地位向上のため

 世の中に役立つ活動を通じ、物流の地位を高めたい。そのためには何かを変えるしかない。15年以上取材を続ける中、特に近年はその思いを強くしたように感じる。
 2年前、交通共済の認知度向上を目指し、テレビCMの全国放送に踏み切った。効果は抜群で、契約車両台数、共済掛金収入が急増。各単協の営業拡大につながったが、それ以上に「ドライバーを含む多くの関係者に安心を与えられたことがうれしい」と話す。
 現在、交通共済では事故防止が重要な課題。QRコードを活用した対策を進めているが、取り組みは道半ばだ。それでも「事故をなくせば組合員の利点につながり、世の中の物流に対する目も変わる」。〝社会のため〟を目指し、今後も難しい課題に立ち向かう。