インタビュー

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【 社長インタビュー 】

総合力をさらに高め 18年ぶりのトップ交代

2026年09月22日

日新 峯 茂樹 社長

 日新(本社・横浜市)は4月、峯茂樹社長が就任した。18年ぶりの社長交代で創業家以外の社長は初。峯社長は就任と同時に、新中期経営計画を前倒しで始動。部門間の連携強化と、総合力の強化に乗り出した。「〝人の日新〟と言われる強みをさらに磨き、日々新たな創意工夫を凝らすという社風を引き継ぎ伸ばしたい」とする。

 ――社長就任の心境はどうだった。
 峯 正直に言うと「大変なことになった」と感じた。一方、副社長就任時に、筒井雅洋会長から内示を受けて以来、使命の重さもかみ締めている。
 ――物流を取り巻く環境が大きく変化している。
 峯 (地政学的リスクの拡大など)国際情勢に左右される要素は多いが、一方で小回りの利く日新にとってはチャンスでもある。打ち手をどんどん考え、顧客に提案しようと考えている。
 ――MBO(経営陣による企業の買収)も実現した。
 峯 同業他社との差別化や調達力強化、海外事業の拡大、人材確保といった課題と向き合う中、投資が不可欠との判断で実施した。一時的な採算性にこだわっていては今後の成長は難しい。中長期的な視点を持ちながら、柔軟性・機動性を高めつつ、意思決定を早めたいとの意図があった。

新中計始動で組織体制変更

 ――今年度は中期経営計画の最終年度。
 峯 実は昨年3月、前中計の数値目標を達成したため早期終了とし、4月から新中計を始動した。会社・グループの総合力の向上を目的とした計画で、併せて組織体制も変更した。
 ――具体的には。
 峯 事業・財務・人事の各部門で各事業の横ぐしを刺す戦略部を設置。部門横断で判断をしやすくした。前提には社内システムの刷新で、現場と営業の双方がそれぞれの状況や現場ごとの収支を把握しやすくなったことがある。各事業戦略部門のトップには、出資者のベインキャピタルの力も借り、外部の専門人材を招聘(しょうへい)した。それぞれの部門で実現に向けた戦略を練り上げていく。
 ――総合力を強化する。
 峯 分かりやすい例を挙げるならば海外の事業拠点だ。ある事業の専属拠点だったものを他の事業にも転用する。また、パナソニックの医薬品輸送向け保冷ボックス「VIXELL(ビクセル)」を使ったサービスの拡大や、デジタルフォワーディングサービス「フォワードワン」の利用拡大なども挙げられる。

熊本・神戸に新拠点を設け

 ――重点分野の拡大も課題。
 峯 自動車関連、食品、化学品がコア事業だが、国内・海外を含めた地域の軸があり、海運・航空・倉庫・陸運といった事業軸がある。これらを横断的に見ながら、縦割りにならないように連携を強化していきたい。
 ――投資も実施した。
 峯 神戸に化学品の拠点を計画。9月には熊本にモビリティー・半導体関連向けの拠点を開設した。前中計で進めてきた投資もこれで一服だが、今後も投資効率を見極めながら必要な部分は投資を続けていきたい。
 ――医薬品事業の強化も進めている。
 峯 これまで関西に専門部署があり、ノウハウを蓄積してきた。これを関東、ひいては世界に拡大していこうということで、医薬品営業部を4月に設置した。また、物流サービスの開発・拡大に向け「物流LABO」という部門も設立した。
 ――強みの〝人〟を生かす。
 峯 「人の日新」と言われることは、正直で誠実という世間からの評価だと思っている。創業者が残した基本精神の「和」「誠意」「努力」を大切に、日々の創意工夫と自己改革に務めていきたい。その上で次代に引き継ぐことが役割と考えている。

記者席 良いことに力を注ぐ

 座右の銘は「精力善用、自他共栄」。柔道の創設者である嘉納治五郎が残した言葉だ。「若い頃は知っているだけで得心していなかったが、社会人になってから思い当たることが増えた」
 会社のトップに立ち、ますます社会や従業員に貢献することの大事さを痛感しているという。「物流は奉仕の精神がなければできない社会の基盤となる仕事だ」とはコロナ禍で実感した。
 現在は単身赴任で、休みの日は家事に没頭する。どうすれば効率化できるか、どのような家具が部屋にあると合理的かなどを考えるのが好き。「正解はないが、できるだけ複数のことを同時にやるようにしている。いかに掃除と洗濯を済ますか。日々実験」。苦手なことは洗濯もの畳みだが、決まったものが決まった場所に収まると、気持ちが良い。