インタビュー
【 この人 】
新たな付加価値を創造
2026年07月21日
名門大洋フェリー 小林 洋 社長
6月、野口恭広前社長から伝統の大阪南港―新門司港(北九州市)航路を率いるバトンを受け継いだ。「フェリーで人・貨物を運ぶのではなく、発想を広げて付加価値を高めたサービスの提供こそが時代の変化を乗り越えられる」と新たな風を呼び起こす決意を示す。
「物流に興味があった」と大阪商船三井船舶(現・商船三井)の門をたたき、海運業のいろはを身をもって学んだ。折しもパソコンやインターネットの黎明(れいめい)期に、紙中心で属人化していた業務をシステム構築で標準化し、管理面の効率化に貢献した。その後、鉄鋼原料船部に配属され、日本と中国、韓国と行き来し、さらにブラジルに5年間駐在。現地で培ったポルトガル語や、時には英語も駆使して新規顧客を開拓し価値観の幅を広げた。
名門大洋フェリーには昨春に着任。フェリー事業は未経験ながらも「公共インフラとして多くの顧客と日々向き合う難しさとともに、やりがいや成長の余地を感じる」とする。2025年度の航走実績は18万9115台と前年度より1・3%減った。だが、トラックの幹線輸送を代替する海上輸送の存在感は高まっているからこそ、次の一手を思案する。
企業理念の第一に「安全はフェリー事業の命」を掲げる。「忘れた頃に事故が起きるという意識の下、各船員、社員がどう対処するか考えてほしい」。商船三井時代に傭(よう)船が事故を起こし、最前線で対応した経験から諭す。
趣味は紙粘土の工作。子どもの頃から制作し、りんごのペン立て、パンダのスマートフォン置きなど今でも没頭する。柔軟なアイデアを事業戦略にも生かす。
