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【 トップに聞く海上輸送こんなサポート 】

無人航走の拡大推進 利点の最大化を追求

2025年05月20日

阪九フェリー 小笠原 朗 社長

 伝統の九州―関西航路を持つ阪九フェリー(本社・北九州市、小笠原朗社長)。新門司(北九州市)―神戸間と新門司―泉大津(大阪府)で各2便、計4便を毎日運航している。使いやすいサービスが評価され乗船が増えている。小笠原社長は「ドライバーの不足や労働時間規制への対応を支援する」とし、海上輸送のメリットを最大化する無人航走の利用拡大を追求する。

 ――実績が伸びている。
 小笠原 2024年度は特に新規ユーザーの乗船が続いた。現状、平日は各便でほぼ満船状態にある。週末便のスペースにはまだまだ余裕はあるが、着実に利用は高まっている。引き続き、問い合わせも多数寄せられている。全体として好調だ。

輸送機材の準備がハードル

 ――利用動向は。
 小笠原 ドライバー不足や労働時間規制への対応といったモーダルシフトのメリットを最大化するには、無人航走がベストな選択肢だ。だが、全体の乗船台数が拡大している中で、有人の割合が増加基調にあり、陸送からの転換はまだ本格化していないと考えている。
 ――なぜ有人航走が増えているのか。
 小笠原 さまざまな理由がある。要因の一つは、無人航走に必要な輸送機材などへの投資負担。新規に挑戦する場合はまず、トラクターとシャーシが必要となる。また、けん引免許を持つドライバーの確保や輸送体制の見直しも不可欠。時間とコストがかかる。
 ――今後も利用は広がる。
 小笠原 底堅い需要が続くとみている。陸送に代わる長距離輸送の手段として、物流企業に限らず、荷主からも相談を受ける機会が増えている。特に定時性について尋ねられることが多い。海を交通し災害の影響を受けにくく、運航スケジュールに沿った安定した輸送が可能なことを伝えている。
 ――新しい船舶燃料の活用に向けた考え方は。
 小笠原 海上輸送は輸送時に排出される温室効果ガスが少ないことも利点。だが、発生する二酸化炭素はゼロではない。当社に限らず、今後、船舶の脱炭素をどう実現するかが課題。具体的な対策の一つが新しい燃料の活用だ。

グループ会社の連携が可能

 ――有望な候補は。
 小笠原 さまざまな選択肢があるが、いずれも技術的に未成熟。コストや運用面で課題が多く、導入に向けた本格的な検討には至っていない。引き続き、最新の研究・開発の動向を注視し、見極めたい。
 ――実績のある航路を運航している。
 小笠原 新門司―神戸間と新門司―泉大津で各2便、計4便を毎日運航している。使いやすさが評価され、長期にわたって定期利用しているユーザーが多い。
 ――需要獲得に向けては。
 小笠原 海上輸送の利点を最大化するとともに、輸送力に余力のある週末便の乗船を促すため、無人航走を積極的に提案する。実現に向けて、保有する輸送機材の数を増やし新規のユーザーの海上輸送の活用を支援する考えだ。
 ――グループ会社との連携輸送が強みとなる。
 小笠原 例えば新日本海フェリーの北海道―関西航路、東京九州フェリーの関東―九州航路と接続することで、北海道・関東・関西・九州を広くカバーできる。グループ企業間で情報を連携・共有することで、多様な輸送サービスを提案できる。