インタビュー

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【 社長インタビュー 】

培った技を生かす 多方面に対応し商機得る

2017年05月16日

丸八倉庫 峯島 一郎 社長

 丸八倉庫(本社・東京)はこれまで蓄積した倉庫業務のノウハウと新しい技術を組み合わせて新しい顧客ニーズに応えていく。2月に就任した峯島一郎社長は「文書管理、物流不動産、物品の保管・管理の3本柱の業務に注力する。当社の経営の特徴を神武天皇を成功に導いた3本足の烏にちなみ〝八咫烏(やたがらす)経営〟と名付けた」と話し、社員を大切にしながらさらなる成長を目指す。

 ――心境は。
 峯島 顧客の当社への期待は思った以上に強い。求められる付加価値の高いサービスを顧客が気付く前に察知し、より素早く提供していかなければならない。
 ――社長就任で分かったことは。
 峯島 顧客ニーズを探り出す作業の必要性を再認識した。顧客を取り巻く事業環境も変わってきている。インターネットの普及で、予想していなかった事態が起きている。既存の業界がネット対応の新業態に浸食されるなど新しい業態の荷主も登場してきた。
 ――どうアプローチする。
 峯島 新しい業態の荷主に対しては、いままで培ってきた当社の倉庫業務のノウハウが、訴求材料になる。保管効率を高める庫内作業の方法や、それを継承する教育などは、有効だ。

時代の流れに柔軟な対応を

 ――強みは。
 峯島 特定の業務を専業にしていないこと。昔からいろいろな仕事をしてきた。食品やアパレルに集中して取り組んだ時期もあった。全方位的にノウハウを蓄積しており、速い環境の変化に柔軟に対応していけると思う。
 ――そうした中、中期経営計画の進ちょくは。
 峯島 平成27年11月期に目標売上高の47億5000万円、28年11月期には48億3900万円を超過達成しており、いまのところ順調。29年11月期は売上高48億4500万円とより挑戦的な目標を定めており、達成のために新たな仕掛けが必要と考えている。
 ――新たな仕掛けとは。
 峯島 文書保管、物流不動産、物品の保管・管理の3つを中心に、より高い付加価値を付けたサービスを提供していくことだ。
 ――特に力を入れるのは。
 峯島 文書保管だ。顧客が預けた文書を、インターネット経由で検索して管理できる仕組みを、昨年つくり変えた。顧客からは好評で競争力の源泉になっている。千葉県八街市に昨年オープンした文書用の倉庫の利用も順調に増えている。将来に向けて、次の倉庫の計画も必要と考えている。

社長室を出て社員と席並べ

 ――経営上重視していることは。
 峯島 上場企業なので1200人を超える株主、顧客、社員など利害関係者は多い。だが、誰が一番大事かという場面では、社員を大事にしたい。社員がいてこそ満足度の高い顧客サービスが可能だからだ。
 ――社員を大切にするには。
 峯島 より働きやすい、働きがいのある会社にしていきたい。社員が会社にいる時間は長い。会社にいる時間を楽しいものにしたい。
 ――具体的には。
 峯島 ひとまずは、社長の席を社長室内に固定せず、社員と席を並べることにした。社員は身構えてしまうかもしれないが、一人一人の顔が見える。すぐに話ができるので風通しの良いコミュニケーションを取れるのではないか。

記者席 温故知新で挑む

 時代の流れが激しいとしながらも、荷主の間で新しい業務領域が現れていることを敏感に察知。積極的に商機と捉える。「そういう意味では面白い時代」半面、同社の3本柱の業務を日本神話に登場する八咫烏(やたがらす)に例えるなど、古いものを大事にする一面も。
 長年の倉庫業務で蓄積した物品管理のノウハウとIT(情報技術)を組み合わせ、顧客の文書管理ニーズを先取り。温故知新で柔軟に変化に対応する。
 趣味は旅行。良い気分転換になるという。主に国内を巡り、寺社仏閣を訪れることが多い。「歴史を知っていると旅行をより楽しめる」ので読書は欠かさない。ゴルフをたしなむほか、健康維持のために歩くことを心掛けている。

(略歴)
 みねしま・いちろう=昭和35年3月8日生まれ、57歳。東京都出身。60年早大社卒、日本アイ・ビー・エム入社、三菱信託銀行を経て、平成5年丸八倉庫入社、12年取締役営業第2部長、18年常務営業担当、27年副社長、29年2月24日社長に就任。(鈴木 洋平)