インタビュー

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【 全ト協・事業者大会特集 巻頭インタビュー 】

喜ばれる工夫で長寿番組 物流ファン増やすヒントに

2026年10月13日

ラジオDJ 小林 克也さん

 広島県福山市出身のラジオDJ(ディスクジョッキー)・小林克也さんは、物流企業のスポンサーも多く、NACK5(ナックファイブ)で放送されているラジオ番組「FUNKY FRIDAY(ファンキーフライデー)」の司会を務めている。交通に関わるコーナーは多くの人に聞かれ、CMも注目されるように工夫を講じてきた。小林さんは「物流のファンを増やす上で、喜ばれる工夫を考えることを大事にしてほしい」とエールを送る。

 ――全国トラック運送事業者大会が15日、福山市で開催される。
 小林 高校時代まで福山市で過ごした。福山市はバラが有名。街中に多くのバラが植えられ、昨年には世界バラ会議が開催され、ラジオのリスナーともこの話で盛り上がった。バラは福山の自慢。大会中に見てほしい。
 ――ラジオ番組でも物流企業と関わりが。
 小林 毎週金曜に放送しているファンキーフライデーは多くの物流企業にスポンサーを務めてもらっている。
 ――どんな理由でスポンサーが集まったのか。
 小林 放送局のNACK5は、ニッポン放送、J―WAVE(ジェイウェーブ)より開局が遅く、歴史が浅く、売り上げも少なかった。ファンキーフライデーの放送を開始した当時の放送局の社長が、局の本社がある埼玉県周辺の企業に営業を行った。その影響で、今でも埼玉県内の物流企業がスポンサーとして多い。
 ――物流企業に関連があるコーナーを設け、情報を伝えている。
 小林 9時間の生放送で、渋滞や事故といった交通情報を1時間に2回ずつ流す。頼りにしているドライバーもおり、スポンサーを付けて広告枠の一つとしている。

リスナー飽きさせない仕掛け

 ――宣伝には仕掛けも。
 小林 1回5分のコーナーだが、スポンサーのPRの仕方を工夫している。コーナーが始まる時に加え、終了前にもスポンサー名を伝えている。他のラジオ番組よりもPRの回数を増やすことで、目立つように演出している。
 ――交通にまつわる川柳を募集するコーナーも車に関係した内容に。
 小林 交通情報の後に十数回放送している。川柳は5・7・5の17音で作られるが、リズムがあれば17音にこだわらず、何でも送ってほしいとリスナーに伝えている。「へっちゃら」「どうなってるんだよ」といった口語を使用してもらってもいい。優秀者には番組のTシャツを贈呈し、応募してもらえるようアイデアを凝らしている。
 ――交通川柳を機に交通情報に注目するようになったリスナーも。
 小林 交通情報も面白いといった内容の川柳を応募してくれるリスナーも出てきた。
 ――ラジオ番組のCM前後に流す「ジングル(短い音楽)」も工夫。
 小林 ジングルの表現方法にひと味加え、聞き流されがちな20秒間のCMに耳を傾けてもらいやすくした。例えば、日本の演歌のメロディーに、英語の歌詞を付け、最後にNACK5と歌ってみた。コント風の一人しゃべりの中に、NACK5と言ってみたこともあった。面白いジングルを生み出せれば、CMを聞いてくれる人も増える。
 ――工夫が番組人気の秘けつ。
 小林 高い聴取率につながり、30年以上放送する長寿番組となった。

運転手との関わり大事に

 ――ドライバーとの関わりも大事にしている。
 小林 トラックやタクシーのドライバーに声を掛けられることが多い。飲料を店舗に納品するトラックのドライバーに、「いつも聞いていますよ」と声を掛けてもらったことがあった。リスナーの顔が分かり、彼らを引っ張っていく番組を作りたいと思うようになった。ドライバーから好きなものの話を聞くと、気持ちが伝わってくる。(日頃の)街中でのコミュニケーションから、新たな発見をすることもできた。
 ――この経験が、NACK5やBS朝日で放送されている「ベストヒットUSA」にも生きており、40年以上愛されている。
 小林 ベストヒットUSAは洋楽をラジオやテレビで紹介する番組。ドライバーとの交流で受け手の顔をより意識するようになり、日本の音楽ラジオ番組も聞き、どんな人が楽しんでいるかの勉強もした。どんなところをくすぐると喜ばれるか考えて番組を制作している。物流のファンを増やすための策にも通じるのではないか。

英語との出会いが転機

 ――ラジオとの出合いは。
 小林 子どもの頃は小学校から帰ってくると、ラジオをよく聞いていた。自分の手でつまみを回し、ラジオ局を変更して遊ぶのが好きで、いろいろな音が聞こえてくるのが面白かった。
 ――ラジオで英語と出合った。
 小林 中学生になって、洋楽番組もラジオで聞き始め、米軍放送ネットワークの番組をよく聞いていた。友達と映画のターザンのように木に登って、縄でブランコをするごっこ遊びをしている時、悪役の英語の雰囲気をまねたところ、友達に褒められた。単語も覚えることができた。高校生の時、ロック歌手のエルビス・プレスリーが好きになりまねて歌っていた。
 ――司会の仕事から芸能界との接点が生まれた。
 小林 21歳の時、芸能事務所の役員から日曜日は休みたいので、代わりに都内のクラブで出演アーティストを英語で紹介する司会をやってほしいと頼まれ、挑戦したことが芸能界に携わるきっかけ。芸能事務所の人と接点ができ、その後も役員の紹介で、都内の百貨店で開催されたイベントでの司会を任され、仕事の機会が広がった。
 ――ラジオDJの仕事はいつから。
 小林 29歳の時、ラジオ関東(現・ラジオ日本)で、平日に15分ずつの番組を担当した。3年後にはDJの仕事に慣れてきて、担当番組が10本に増えていた。
 ――トラック運送業界にメッセージを。
 小林 DJの仕事を通じ、担当番組のスポンサーをしてくれる物流企業もあり、その存在を知った。ドライバーからリクエストをもらうことも多く、応えるうちに楽しんでもらえる番組を作るようになった。皆さんのがんばりが僕たち制作側のエネルギーになっている。仕事を頑張れば、他の業界の人にも喜んでもらえることがある。楽しんで働いてほしい。

記者席 生成AIは面白い

 生成AIがいろいろな業種で使用されるようになってきた。小林さんもラジオ番組制作のための情報収集でAIを活用。面白いと笑う一方、期待通りにいかないこともあるという。
 ラジオ番組のファンキーフライデーで、使えそうなジョークをAIに考えてもらった。みんなが笑うものを考えてほしいと伝えたが、結果は当たり障りない内容。パンチがなく「番組で使用できなかった」と苦笑いする。
 ベストヒットUSAで海外歌手にインタビューする際、AIに米国の人気歌手ビリー・ジョエルの性格を質問。人が良過ぎてだまされた、マネジャーに逃げられたなど裏側のエピソードを教えてもらった。「AIは番組制作に対する考え方、リスナーに届ける情報の幅を広げてくれる」