インタビュー
【 社長インタビュー 】
創業来、最高の売上高 「30年度に100億円達成」
2026年05月19日
東邦運輸倉庫 黒川 敬之 社長
東邦運輸倉庫(本社・仙台市)は、2026年3月期の売上高で創業以来最高の数字を達成する見通しだ。人口減少やコスト増加といった要因で事業環境は厳しいが、黒川敬之社長は「東北の事業を足がかりに世界にも目を向け、30年度に(売上高)100億円を目指す」とする。
――26年3月期業績は。
黒川 売上高は88億6100万円となる見込みで、創業以来最高の数値だ。利益も高水準を保つことができた。
――要因は。
黒川 トラックドライバーの労働規制強化に伴う24年問題を背景に、運賃水準の底上げを図るべく、いち早く荷主との適正運賃交渉に取り組んできた効果が出た。また、燃料費をはじめ、人件費や車両費といったコストは年々上昇しているが、コスト上昇分を吸収するための交渉もしている。
――一方で、中東情勢の緊迫化で軽油価格が急騰している。
黒川 業績に響いている。中東情勢の緊迫が一時的か、長期にわたるのかを見極めることは困難で、荷主への交渉タイミングが難しい。燃料サーチャージ制の導入も検討しているが、まだ踏み切れない状況だ。燃料費の上昇分を別建てで交渉していなかったため、荷主に説明し、理解してもらう必要がある。
――東北の事業環境は厳しい。
黒川 東北は人口減少が国内で最も速いペースで進んでおり、貨物量も徐々に減少している。既存荷主の業務だけでは、売り上げが減るのは確実だ。事業基盤の東北のネットワークを強化しつつ、新たな貨物を獲得できるかが今後の鍵だ。
福島県の運送会社をM&A
――今年、新拠点を開設した。
黒川 東北6県を結ぶ共同配送システム「みちのくネットワーク」の強化を目的に、1月に仙台市で「扇町7丁目倉庫」を開設した。主要品目の建材の保管とスルー(通過型)センター機能を一体化した施設だ。
――M&Aも推進。
黒川 2月に、協力会社だった郡山トラック運送(福島県郡山市)を子会社化した。運輸事業の基盤強化を図る。現在当社グループは8社25拠点を展開している。
――今後もネットワーク強化を進める。
黒川 東北各県をカバーできるのは、当社を含め業界で数社しかないと自負しているが、さらなるネットワークの強化を進める。青森市で新たな設備投資を計画するほか、M&Aも展開していく。東北の人口減が加速し物流基盤がぜい弱になる結果、物流に困る荷主が出てくるとみている。東北の物流は当社に任せれば安心と言ってもらえる体制づくりを進める。
――東北で培った基盤を営業にも生かす。
黒川 これまで築いてきた経営資源は、新規獲得だけでなく、既存荷主の掘り起こしにもつながる。さらに、23年に新設した東京東邦運輸倉庫は国際フォワーディングを主な事業としており、国内の保管だけを請け負っていた荷主に国際物流の提案もできるようになった。さまざまな提案をするよう営業部門に指示している。
世界に目を向け目標達成へ
――東京東邦運輸倉庫は順調に業容拡大。
黒川 設立当初5人ほどだった社員は、4月現在20人近くに増えた。受注は国内外からで、徐々に増えている。輸入貨物の保管と全国配送も担っており、24年7月には都内に新倉庫を開設した。
――今後の展望は。
黒川 30年度までに売上高100億円達成を掲げている。東北を地盤に、世界にも目を向け目標達成を目指す。
記者席 「柔軟な思考育てたい」
「従業員の柔軟な思考を育てたい」と黒川社長。固定観念に縛られない考え方ができるような教育に着手する。これまでも、管理職が集まる部課長研修会では法令順守やハラスメントの勉強会を開催。企業内大学を開設し、役員が物流に関する知識を教えるといった学びの場を提供してきた。
また、若手社員で構成された複数のチームから、本社倉庫のうち老朽化した倉庫について、建て替えに向けた設計の構想を募集。優れたアイデアを提出したチームに黒川社長自ら表彰した。
今後、従業員同士が自分の頭で考え、教え合うような仕組みづくりを検討している。黒川社長は「議論しながら楽しく学べるような企画を検討中」と語る。日頃から参加した研修や他社事例といった情報を自主的に交換し合うよう呼び掛けている。
