インタビュー

【 この人 】
「背骨」強みに海外へ

2017年07月11日
三菱商事ロジスティクス 川村 文徳 社長
4月、三菱商事に復帰した田村幸士前社長からバトンを受けた。「商社のDNAを有することが当社の強み。荷主の立場で顧客のニーズを吸い上げ、物流をデザインすることには一日の長がある」。三菱商事グループの物流部門を担う中核として、「60年以上の歴史と長年培ってきたノウハウを生かし、収益の拡大を追い求めたい」。今年度仲間入りした13人の新入社員には「失敗を恐れず積極的にチャレンジを」と呼び掛けた。
三菱商事入社後、主に物流部門を歩んできた。三菱商事ロジスティクスの前身であるエム・シー・トランスインターナショナルの香港法人、泰国三菱商事ロジスティクスの社長を歴任。危機に直面していた両社の経営を、機敏な判断で利益が出せる体質に立て直した。三菱商事の不定期船事業立ち上げに尽力した立役者でもある。
成長市場のアジアを中心とした海外展開への意欲は強い。「国内で磨き上げた品質やノウハウを海外へ効率的に移植していくためにも、しっかりとした〝背骨〟をつくり上げたい」。例えば、倉庫業。「当社としての倉庫運営の共通項をまとめた基本モデル=背骨を確立し、自動車、アパレル・雑貨、食品といった産業別のニーズに合わせて肉付けをしていくイメージだ」。何事も基本を押さえ、応用を利かせることが大切。「ゆがんだ背骨ではどんな対症療法も無意味。事業や倉庫の立ち上げに時間がかかり、トラブルも起きやすくなる」
息抜きは読書。司馬遼太郎、藤沢周平など歴史小説を好む。「一度集め出すと全シリーズを買ってしまうほどのコレクター」。風呂につかってゆっくり汗を流すことも経営の活力に。
(略歴)
昭和40年12月19日生まれ、51歳。千葉県出身。平成元年早大商卒、三菱商事入社、エム・シー・トランスインターナショナル香港社長、泰国三菱商事ロジスティクス社長などを経て、13年三菱商事不定期船事業部長、29年4月三菱商事ロジスティクス社長。(水谷 周平)