インタビュー

【 社長インタビュー 】
二次架装に商機 東名阪軸に積極出店

2017年06月06日
SGモータース 石部 久康 社長
SGモータース(本社・東京、石部久康社長)は東名阪を軸に拠点を増強。最新鋭の設備を導入して、需要が高まる二次架装の領域に商機を見いだす。今年の新規採用は昨年比10人増の41人。「今後も人材の確保と育成に力を入れ、設備の稼働率を上げていく」(石部社長)。ユーザーのニーズに応える開発体制も整え、さらなる収益拡大を志向する。
――社長就任から1年が経過した。
石部 当社にはグループ企業への車両供給、整備などに加え、外販の拡大が求められているが、その役割は果たせたと思っている。特に新車販売では、今秋に施行される排ガス規制が需要を喚起し、業績目標のクリアに大きく寄与した。
――整備は。
石部 売上高の半分を占めるが、外販では各拠点周辺の新規取り込みが進み、堅調に推移した。
――拠点増強の計画は。
石部 需要が多い東名阪が軸になる。関東では、東京店(千葉県市川市)に既存顧客が多く、そこから遠くない場所に考えている。当初は来年度の開設を予定していたが、地価との見合いから平成32年以降にずれ込むかもしれない。
――中部は。
石部 中京店(愛知県小牧市)の出先拠点で手狭になってきた名古屋工場を拡大する目的で検討しており、少なくとも32年度までには出店させたい。また、福岡にも出店する計画だ。
人材の確保と育成に注力し
――昨年5月に新設した西大阪店の状況は。
石部 修理、架装、塗装、車検などを行うラインを12本用意し、最新鋭の設備を整えた。今後の拠点展開のモデルになるが、西大阪店では現状その能力を生かし切れていない。人材確保と同時に教育に力を入れ、設備の稼働率を上げていく必要がある。
――今年の新規採用は。
石部 昨年比で10人増の41人。外国人採用も増やした。今後も雇用者数を増やしていく。
――強化ポイントは。
石部 二次架装。新車の需要拡大で、メーカー完成車をカスタマイズする架装市場が拡大している。大型車では近年、荷台部分が脱着できるスワップボディー車の需要が増えているが、大手メーカーを含め、こうしたユーザーのニーズに応え切れていない。そうした意味でも、板金など最新鋭の設備を各店に導入し、マーケットニーズに応え、収益拡大につなげていく。
開発機能高め移動販売車も
――商品開発は。
石部 昨年10月、開発部署の前段階として、本社に購買管理部を立ち上げた。4月には岡山工場など設計部署の人間も加えた。当社にはSGHグループに適切な製品、サービスを供給する使命があるが、外販分を加えた資材購入の精度を上げることで、仕入れ額を抑えることができる。マーケットニーズを踏まえた資材購入を進めれば、より多くの商機も捉えられる。
――市場調査は。
石部 購買管理部はその役割も担う。当社には岡山や静岡県にボディー製造工場もあるが、製造部門が営業、フロント業務まで行う体制は将来に向けて決して良くはない。購買管理部を新たに設けることで製造部門はモノを造ることに特化し、設計部門も本社に集約して全体の最適化を図る。
――新商品で具体的な動きは。
石部 大手コンビニエンスストアの移動販売車の供給で、小型トラックを専用車両に二次架装する仕事がある。3月末までに13台納め、今期は100台弱の納品を予定している。高齢者向けとして、山間部だけでなく都市部でも需要が高まっているようだ。
記者席「順調な1年だった」
「グループ企業に対するタイムリーな製品供給と、外販でしっかりと拡大基調に乗せるという意味では、この1年は順調だった」
外販拡大に向けた市場の動向については、通販事業の伸びに比例して小型集配車の需要が伸びるとし、大型車は保有率が減少する一方、輸送効率を高める特殊車両の需要が高まるとみる。ここにも「二次架装を強化する理由がある」と強調する。
野球好き。学生時代は左腕の投手で鳴らし、明治大学の一学年下には鹿取義隆(元巨人)と高橋三千丈(元中日)がいた。今年行われた第4回ワールド・ベースボール・クラシックについては、「欧州などがレベルを上げ、戦力が拮抗した大会だった。その中で(優勝した)アメリカが一段上だった」。
(略歴)
いしべ・ひさやす=昭和30年4月16日生まれ、62歳。新潟県出身。53年明治大文卒、いすゞ自動車入社、平成19年沖縄いすゞ自動車社長、24年いすゞ保険サービス社長、26年SGモータース常務、28年3月社長。(丸山 隆彦)