インタビュー

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【 社長インタビュー 】

業績改善 正念場に 赤字ゼロへ徐々に効果

2015年01月06日

カンダホールディングス 勝又 一俊 社長

グループ全体で、赤字拠点解消へ業績改善運動を進めるカンダホールディングス(本社・東京、勝又一俊社長)。昨年10月から不採算顧客への料金値上げ交渉の効果が徐々に出始めるなど、取り組みは正念場を迎えている。併せて、国内では顧客ニーズの変化に応じて業容を拡大。新たな事業の柱である国際部門の強化も「グループ挙げて取り組んでいく」(勝又社長)。

 

――昨年4〜9月期の決算は増収増益。

勝又 決して満足はしていない。M&A(企業の合併・買収)の効果や既存顧客の業容拡大で売り上げは伸びたが、上期中にめどを付ける方針だった赤字拠点の収益改善に時間がかかっている。

――改善の進ちょくは。

勝又 前期から顧客ごとに取引内容を見直し始めた。不採算の顧客には料金値上げを交渉。満額でのOKは少ないが、前向きな回答がほとんどだ。交渉が難しい場合、取引を縮小または解消したケースもある。

――効果はどうか。

勝又 10月から業績に表れてきた。全社的に収益改善の意識が浸透し、来期から黒字化を見込める事業も増えてきた。

――下期から来期にかけて正念場に。

勝又 設備投資や処遇、職場環境の改善を図るために赤字解消は最重要。人手や車両の不足で、値上げに対する顧客の理解が得やすい環境になってきている。料金体系見直しだけでなくお互いにメリットが出るよう、輸送効率向上を図る共同配送などの提案も進めている。

 

介護関連の新規事業も構想

 

――昨年秋、愛知県豊川市に物流拠点を新設。

勝又 自前納品が難しい中小の問屋から商品を集め、ドラッグストアの店舗向け配送センターに納める機能を担う。今後も拠点を増設し、ニーズの高まりに応えていく。

――変化するニーズへの対応が重要。

勝又 ドラッグストア関連の業務では、関東の拠点で売れ筋商品の在庫を置き始めた。東日本大震災で各店舗が品薄になったことが背景にある。国内は顧客のニーズ変化に合わせた業容拡大で売り上げが伸びている。

――社会貢献を目的に、身体障害者の雇用拡大を図る「カンダハーティーサービス」を設立。

勝又 すでに軽作業中心に、本社などグループの拠点で働いてもらっている。雇用機会を広げるための新規事業にも取り組みたい。例えば、介護用品のレンタル。用品の管理・配送から返却品の洗浄・消毒までサポートできないか考えている。

 

国際部門の人事面テコ入れ

 

――国際物流にも注力。

勝又 (1)海上貨物拡大(2)海外拠点の収益安定化(3)国際宅配便の強化――が当面の戦略だ。海上貨物は、名古屋を拠点とするグループ会社ニュースターラインの集客力やノウハウを活用し、首都圏でも拡大を図りたい。

――グループ内の連携も鍵。

勝又 11月に国際部門のテコ入れを図り、中核を担うペガサスグローバルエクスプレス(=PGE)の社長にホールディングスの人材を急きょ起用した。国内外の連携強化と意思決定の迅速化が狙いだ。

――国際宅配便部門でも新しい取り組み。

勝又 12月に群馬県館林市の北関東物流センターにPGEの営業所を設けた。外資系物流企業の営業活動が手薄な北関東地区の国際宅配便需要を取り込んでいく。

――海外展開は。

勝又 今期中にもインドネシアのジャカルタに現地法人を設けたい。タイ現法は早期の黒字化が課題。顧客開拓を加速させるため、現地の営業部隊増強を検討中。これらを軌道に乗せたら、ベトナムやミャンマー、カンボジアへの進出を検討していくことになる。

 

記者席 〝1000億円〟への思い

 

平成28年3月期までの中期経営計画のスローガンに、売上高目標500億円を掲げるカンダグループ。「10年後は1000億円に」という、企業の将来を見据えた1回り大きな目標がある。

規模拡大の鍵はM&A(企業の合併・買収)。「売り上げが一定のままで利益を伸ばすことは困難。M&Aに取り組まなければ500億円企業にはなれない」。人手や車両の増強、設備投資の積極化。原資となる利益を創出する源は売上高の拡大。「仕事の引き合いがあっても資金力がなければ、チャンスを逃してしまう」

業界内の競争はますます激化。共通課題を抱える事業者同士が連携する必要性も強く感じている。「これからは互いの強みを生かしながら、弱みをカバーし合う関係性の構築も視野に入れていかなければ」

 

勝又 一俊氏(かつまた・かずとし) 昭和27年1月2日生まれ、63歳。大分県出身。49年大分大経卒、太陽神戸銀行(現・三井住友銀行)入社。平成17年カンダコーポレーション常務営業本部長兼サプライチェーン事業部長、19年社長、21年、持ち株会社制移行に伴いカンダホールディングス社長に就任。(水谷 周平)