インタビュー

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【 社長インタビュー 】

輸送力の安定確保へ 自社便 段階的に増強

2014年12月23日

アサヒロジ 丸山 高見 社長

アサヒロジ(本社・東京、丸山高見社長)は輸送力の安定確保に向け、自社便増強や待機時間の削減に取り組み、協力会社との連携を強化。「安全」を経営方針の最上位に掲げ、今秋から現場で使うフォークリフトの安全運転向上を図る「愛車運動」を全社展開。「各現場の活性化につながっている」(丸山社長)。

――平成26年12月期の業績見通しは。

丸山 売上高は予算達成できそうだ。少し上振れるかもしれないが、前期(814億円)を上回る830億円を見込む。アサヒグループ関連の物量がビール・飲料とも堅調に増加。外販は伸び悩み、前期並みか微増にとどまるだろう。

――利益面は。

丸山 目標未達となりそうだ。車両の調達に苦労し、下払い費用が高まったことが大きな要因。人材不足に加え、燃料高騰や高速料金の値上がりでレギュラーの協力会社から集車できないという実情もあった。

――対策は。

丸山 これまでビールや飲料を扱ってなかった事業者にも協力を仰ぎ、集車力はかなり回復している。今期から、自社便を物量が多い東日本地区を中心に段階的に増強し始めた。

 

オペ力高め待機時間を削減

 

――自社便の比率を高めていく。

丸山 現状、輸送力全体に占める自社便の比率は約5%。来期に向けてさらに強化し、安定的な輸送力の確保につなげていきたい。

――協力会社との連携もますます重要に。

丸山 協力会社は輸送部門の要。WIN―WINを目指しながら、「アサヒロジと手を組むことで取引が増え、人も育つ」と思ってもらえるような関係性を構築していく。今期は東日本の主要拠点中心に、協力会社の負担を減らす取り組みにも注力した。

――例えば。

丸山 ピッキングなど庫内のオペレーション能力を高めることで待機時間を大幅に改善した。協力会社のドライバーにも喜ばれている。車両の稼働率を上げるため、各現場が連携して往復の荷物を手配するなどの工夫も施している。

 

「愛車運動」を3年で本物に

 

――安全活動もパートナーシップ強化の鍵。

丸山 協力会社を含めた全てのトラックドライバーに感謝と安全運転を呼び掛ける「安全声かけキャンペーン」を昨年から始めたが、今年は役員総出で実施した。相互の意識が着実に変わりつつある。

――「安全を企業ブランドに」の思いがある。

丸山 全部門の年次計画の最上位に安全を掲げている。フォークリフトを大切に扱うことで事故削減を図る「愛車運動」を秋から全社で展開。来年4月25日には、支社対抗で同運動の全国発表会を行う。各現場が名誉を懸けて成果を見せる場になるだろう。

――愛車運動への期待は大きい。

丸山 協力会社と切磋琢磨(せっさたくま)しながら進めている取り組みだ。5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)が徹底され、職場も明るくなる。結果、商品破損事故が減り、作業品質も向上。現場力が強くなり、顧客も喜ぶ。とにかく発想が健全。マンネリ化させないよう、3年で〝本物〟の活動にしたい。

――同運動は現場で生まれた取り組み。

丸山 安全も業務改善も現場の活動があってこそ成立する。現場にはイノベーション(革新)につながる発想が多くある。トップダウンだけではなく、各現場で生まれた良い取り組みを吸い上げ、展開していくことが経営陣の役割だ。

 

(略歴)

丸山 高見氏(まるやま・たかみ) 昭和28年9月3日生まれ、61歳。山梨県出身。52年早大法卒、アサヒビール入社、平成10年首都圏本部総務部長、14年アサヒ飲料に出向、理事を経て、17年アサヒビール人事部長、20年執行役員、23年常務・常務執行役員兼経営企画本部長、25年アサヒロジ社長。

 

記者席 現場の発想を育む

 

「品質とコスト競争力を高めるには社員の育成が極めて重要」。幹部候補生を育てる選抜研修や、女性に特化した研修などさまざまな人材育成策を実施。全国6支社の若手精鋭を集め、自由に議論させる機会もつくった。

スキルアップを図る資格受験も支援。取得した社員に「オリジナルのボールペンを贈る」など工夫を凝らす。「経営者自らが承認し、期待を表明してこそ人は育つ」

現場にも足しげく通う。小集団による「K2(改革・改善)活動」は現場力の見せどころ。大幅な待機時間削減も、その成果の1つ。

労使が集う各支社の安全衛生委員会にも必ず出席。「最も重要な組織」と位置付け、安全活動の最前線を体感。「とても中身が濃い」。現場の発想を育もうとする気合いは本物だ。(水谷 周平)