インタビュー

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【 インタビュー 】

研修通じ適正利用徹底 組合員の意識高める 

2017年02月21日

関東運送事業協同組合 角田 正一 理事長

 昭和47年の設立以来、徹底した教育指導で加盟組合員を拡大してきた関東運送事業協同組合。一方、昨年は組合員ドライバーによる高速道路の不正通行が発覚。一時的にETCコーポレートカードの追加発行が停止される処分を受けた。4月から車両制限令が厳格化される中、適正利用をどう進めるのか。角田正一理事長に今後の取り組みを聞いた。

 ――加盟企業の現状は。
 角田 現在の組合員数は425社。加盟企業は増加しているが、何か特別なPRをしているわけではない。トラック各社が独自に取り組みを知り、自発的に入会した結果がいまの数字だろう。

さらなる教育で不正を防止

 ――信頼性の高さが加盟増につながっている。
 角田 加盟時には与信管理を含めた厳しい審査を行い、その後も研修を徹底している。Gマーク(安全性優良事業所)のように、入会することで一種のステータスを得られることも魅力となっているのではないか。
 ――一方、昨年6月に組合員による高速道路の不正通行で処分を受けた。
 角田 従来考えていなかった方法で不正通行が起きてしまった。高速道路を利用しない場合、一部をドライバーの給料にプラスする事業者もあるが、こうした仕組みは注意しなければならない。再発防止には研修を徹底するしかない。
 ――研修を強化する。
 角田 関運協では各都県で経営者、運行管理者、ドライバーを対象とした教育を徹底。組合員に研修会の参加を義務付け、社内で反映してもらっている。不正通行の防止、コーポレートカードの適正使用などを徹底するには運行管理者の知識も大事となる。部署移動で管理者が代わる際、知識が不足してはドライバーに的確な指導ができない。研修と併せ、指導部による組合員の臨店指導もさらに徹底していく。

高速は使いやすい仕組みに

 ――4月から車両制限令違反者に対する大口多頻度割引などの停止措置が見直される。
 角田 例えば鉄鋼メーカーでは法令順守の関係上、許可重量の9割ほどしか積まないケースがある。逆に積載重量を勘違いしている荷主もいる。大型車を市街地から高速道路に誘導するというのが国の方向性。安全や長時間労働などの対策を進める以上、事業者が分かりやすく高速道路を使える仕組みにしてほしい。
 ――新制度では軸重違反にも点数が科される。
 角田 軸重は貨物の積み方が影響する場合がある。例えば後方から貨物を降ろし、前方に偏った結果、軸重違反と言われても困る。ローリー車はブレーキの掛け方で軸重が重く計測される場合もあると聞く。事業者が抜本的な対策を行うのは難しく不透明な部分もある。
 ――関運協では今後どのような対応を。
 角田 高速道路各社のETCコーポレートカード利用約款の変更に合わせ、必要な措置を検討していく。だが関運協としては研修を通じ、組合員の意識を高めることしかできない。具体的な対策は各業界やトラック事業者が考えることだろう。
 ――自主的な取り組みが大事になると。
 角田 まずは各業界で運賃交渉などを進めていくしかない。また必要なコストを最終消費者に転嫁する仕組みも大切になる。実現は難しいが、もし転嫁する仕組みがあれば、立場の弱い事業者もしっかり運賃を収受できる環境が整うだろう。

(経歴)
 つのだ・しょういち=昭和27年2月16日生まれ、65歳。千葉県出身。49年早大卒。47年関運協に角田運送加盟。平成10年理事、16年副理事長兼中央指導部長、23年理事長就任。(小林 孝博)