インタビュー

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【 この人 】

「日々努力」で難題に挑む  

2017年01月24日

大阪府トラック協会 辻 卓史 会長

 「全会員参加型の協会運営を行う。そのためにまず現場に足を運ぶ」――。会長就任から半年がたった。下部組織の12支部を全て訪問。支部長をはじめ、職員一人一人に声を掛けて回った。「会長が支部まで足を運ぶのは初めて」と驚く声もあったが、身近に感じてほしい一心で動いた。
 行動には鴻池運輸社長時代の経験が生きる。全支店・営業所には年2回、訪れて話し合いの場を設けた。いまのようにタブレット端末がない時、社員の顔と名前を把握するため、写真入りノートを事前に作成するよう心掛けた。「現場とのコミュニケーションは経営面で得ることが大きい」と重きを置く。
 業界の人手不足には、率先して行政、荷主らとの会合で窮状を訴えた。府地方協議会、近畿運輸局と大阪労働局による荷主団体への過労防止協力要請、府主催の大阪人材確保推進会議と矢継ぎ早に手を打った。
 平成22年度から削減が続く運輸事業振興助成補助金(交付金)も重い課題だ。関西経済連合会リニア・北陸新幹線担当委員長と同時に府参与を務め、府とのパイプづくりに腐心する。
 自然災害時の緊急物資輸送に欠かせないトラックの在り方では、府と共通認識が得られるはず。「まずは信頼関係づくり。トラックの重要性と厳しい現状が理解されれば、自然と実を結ぶだろう」
 今年から会員約3400社を対象とした独自の景況調査を年4回、実施する。協会加盟のメリットを示すとともに、会員間の交流と現状認識の共有化に生かせると温めてきた秘策だ。
 座右の銘は「何事も成功するまでは不可能に思える」(ネルソン・マンデラ南アフリカ元大統領)。難題に挑む姿勢は「日々努力」あるのみ。

(略歴)
 つじ・たかし=昭和17年10月3日生まれ、74歳。41年一橋大商卒、宇部興産入社、58年鴻池運輸入社、同年専務、平成元年社長、12年会長兼社長、15年会長。14年大阪ト協副会長を経て、28年6月から会長。(遠藤 仁志)