インタビュー

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【 社長インタビュー 】

〝和の心〟が成長の原点 社員の意識改革を徹底 

2016年10月25日

ダイワコーポレーション 曽根 和光 社長

ダイワコーポレーション(本社・東京)は10月、設立65周年を迎えた。社員一人一人が目的を持って能動的に動き、顧客の願いを形にする質の高いサービスを提供。業界に先駆けサブリース事業を展開するなど、物流を〝クリエート〟(創造)することで飛躍的に業績を拡大してきた。曽根和光社長は「和を大切にして全社員が同じベクトルで進んで来たから今がある。今後もアンテナを高く張り、プラス思考で発展を続けたい」と語る。

――10月で設立65周年を迎えた。
曽根 長年事業を続けられたのは諸先輩、従業員、得意先のご協力のおかげ。本当に感謝しかない。尊敬する父の功会長が元気なうちに周年事業を行いたいと考え、昨年末から準備をしてきた。この10年間で会社は急成長を遂げたが、危機感もある。次のステージに向けて一致団結する機会としたい。
――設立以来守り続けてきた経営理念は。
曽根 創業者で祖父の光雄元会長が大切にしてきた〝和の心〟を守り続けてきた。前身の大和実業は「和を以って実を成す」が由来。取引先・関係者への感謝の強さは当社の特徴で、経営理念は全社員に徹底している。

丸紅で経験積む

――入社前は総合商社の丸紅で経験を積んだ。
曽根 3年間、大阪支社で塩化ビニールなどの仕入れ、販売を担当。先輩からは、どんな仕事にも通じる「仕入れなくして販売はない」とたたき込まれた。取引先は国内外の大企業から中小零細まで幅広く、数多くの出会いが経験となった。経営の上で大切なことも学ばせてもらった。
――大切なこととは。
曽根 新入社員時代の丸紅シンクタンクの所長との出会いが一つ。当時は湾岸戦争が起こるといわれた時期。国内で判断が分かれる中、勇気を出して所長に話し掛け、開戦の情報をいち早くつかんだ。結果、石油関連商品の在庫を手厚くし、会社に貢献できた。社員にはアンテナを高く張るよう伝え続けている。
――平成5年のダイワコーポレーション入社当初、戸惑いもあった。
曽根 入社当時の売上高は25億円で従業員も50人ほど。知名度は決して高いとは言えず、商社との環境の違いに戸惑いもあった。だが前向きに会社を成長させようとする仲間の存在が励みになった。これまで築き上げた基盤を守りつつ、事業拡大のためにさまざまな取り組みを進めた。
――まず何を。
曽根 全社員に協力会社を尊重することを徹底させた。配属された営業所では当時、集荷ドライバーをぞんざいに扱う従業員を目の当たりにした。そこで意識改革を徹底。これが協力会社と強固なネットワーク構築する契機となった。
――協力会社は重要なパートナー。
曽根 仕事が増えても協力会社の力がなければ対応は難しい。取引先やネットワークを広げることができれば商機は拡大する。協力会社に業務委託する際は必ずこちらから赴き、相手がプラス思考の会社なのかを確認している。

独自の経営哲学

――プラス思考は経営の重要なポイントと。
曽根 倉庫は他社との差別化が図りにくく、社員の人間力で企業の力が決まる。全員がプラス思考で同じベクトルに進まなければ大手との競争に勝ち抜けない。20年以上、一度も新卒採用を欠かさないのはプラス思考で物事を考える人材を獲得するため。稲盛和夫氏が話すように、仕事の成果は〝考え方×熱意×能力〟で決まる。考え方がマイナスならゼロになる。
――経営哲学も独自。
曽根 大相撲で例えると「9勝6敗」の精神。勝ち続けると社員が慢心し、同業他社の競争心もあおる。挑戦した結果、敗戦の中で生まれる価値もある。失敗も寛容に受け止め、減点主義は絶対に取らない。
――目指す企業の姿は。
曽根 一人一人が能動的に提案し、高い生産レベルを追求する〝物流のプロフェッショナル化〟を目指す。スピード感あるサービスは強みだが、まだ足りない部分も多い。コストがかかっても庫内の機械化・自動化を進め、顧客と従業員の満足度を高める投資を続ける。取引先と末長く付き合うには、生産性を向上させた分を還元する必要がある。
――現場で働く従業員にメッセージを。
曽根 180人の社員が日々汗をかき、頭を使い仕事をしてくれるから今がある。不断の努力に感謝している。これからもベクトルを合わせ一緒に頑張ってほしい。

(経歴)
そね・かずみつ=昭和43年2月11日生まれ、48歳。東京都出身。慶大経卒。平成5年ダイワコーポレーション入社、13年専務、23年社長。