インタビュー

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【 社長インタビュー 】

売上高1000億円へ総力 「150億円はM&Aで」 

2016年09月27日

大和物流 緒方 勇 社長

 平成32年3月期に連結売上高1000億円の目標を掲げる大和物流(本社・大阪市、緒方勇社長)。今期を含め4年間で売り上げを400億円拡大するため、中堅物流企業のM&A(企業の合併・買収)を計画。流通小売りの3PL拡大へ拠点網の増強も進め、目標達成に「総力を挙げる」(緒方社長)。

 ――今期の連結売上高の見込みは。
 緒方 650億円。前期から50億円増やす。主力の建材物流では手薄だったホテルなど非住宅系の営業を強化中。6割ある外販率も高める。重点分野の流通小売りではホームセンターの3PLで実績を積んだ。昨年は合弁会社ダイワジーエフロジの設立、アパレルIT(情報技術)ベンチャーのイロヤとの資本提携で通販を含めた衣料物流の足掛かりをつかんだ。6月からはユニクロ関連の取引も始めた。

対象は流通系中堅物流企業

 ――利益はどうか。
 緒方 単体の前期営業利益は前の期に比べ約6億円増の31億円だった。親会社大和ハウスの建材物流では共同で業務効率化に取り組んだ。外販では専属社員が倉庫のテナントを見直し、不採算なものは入れ替えるなど改善を進めた。今期は40億円を目標にする。
 ――連結売上高1000億円に向けた施策。
 緒方 単体のほか子会社の売上高が約80億円あるが、今期を含め4年間で400億円の増収を考えるとM&Aが必要になる。その効果で150億円ほどを得る計画だ。
 ――M&Aの対象は。
 緒方 流通小売り分野に強みを持つ中堅の物流企業を考えている。先述の衣料分野が有力になるが、ドラッグストアや食品スーパーの商材取り扱いで武器になる冷凍冷蔵の物流企業も候補。M&Aで3PLを強化して収益力を上げていく。伸びしろがある通販も取り込みたい。物流を成長分野に位置付ける大和ハウスと連携し、検討を進めているところだ。
 ――人と車両の確保策については。
 緒方 需給を見極めながらになるが、主力の建材物流では季節波動が大きく、協力会社との連携強化で対応したい。そのためには信頼関係の醸成が欠かせない。当社のネットワーク「協力会」では講習会などを輸送品質の向上に役立ててもらっている。片荷解消のため荷物を融通し合う交流の場にもなる。当社は請求があった翌月に現金で支払う。今後も協力会社にとってより良い環境を提供していく。

東名阪軸に拠点増強で増収

 ――拠点をどう展開する。
 緒方 70ほどある拠点を見直し、集約と増強を併せて進めている。施設の老朽化などで移転するケースでは移転先で拡張を行い、増床分は新たに荷主を獲得して増収につなげる。必要に応じて新設も行っていく。
 ――重点エリアはどこか。
 緒方 東名阪になる。大阪では門真のセンターを移転拡張する。茨木、高槻など内陸部でドラッグストアのセンター需要がある。傘下のユアサロジテックがある京都エリアでは共同で利用する大型施設を検討中。関東エリアでは引き合いが多く、条件の良い候補地があれば積極的に動く。
 ――中部は。
 緒方 名古屋市に今年4月、延べ床面積2万2000㎡のセンターを開設した。来年2月、隣接地に同1万5000㎡のセンターが完成する。ドライバーの拘束時間の問題に絡み、中部は中継拠点として需要がある。ドライバー不足は高齢化を含め課題だが、行政の指導は厳しさを増している。業界が抱える大きな問題といえる。

記者席 何でも聞いてほしい

 大和ハウス時代は営業畑。入社5年後の昭和52年に発足した流通店舗事業部には、大和物流の専務に就く平成24年まで在籍した。
 大和物流は流通小売りの領域で3PLを伸ばし、規模を拡大していく。売上高1000億円の達成に何が必要か。「何でも聞いて」と、記者の質問に対し、丁寧に一つ一つ答えてくれた。
 社長室には、大和物流のトラックを大きく引き伸ばした写真が。カメラ好きの緒方社長が撮影。アルミのパネルにきれいに収まったトラックは、社長の机の真正面に。「よく撮れていると思う」。その笑顔が印象的だった。
 長崎県五島列島の出身で毎年1回は帰郷する。子どもの頃は「やんちゃだった」。学生時代に始めた空手の腕前は黒帯2段。
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(略歴)
 おがた・いさむ=昭和24年3月8日生まれ、67歳。長崎県出身。47年北九州大商卒、大和ハウス工業入社、平成19年取締役、24年大和物流専務、25年社長。(丸山 隆彦)