インタビュー

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【 社長インタビュー 】

〝現場第一主義〟貫く 3カ年計画達成へ弾みを 

2016年09月13日

札幌通運 片岸俊幸 社長

全国展開を進めるロジネットジャパン(本社・札幌市、木村輝美社長)グループの事業会社、札幌通運(同・札幌市)で2月に、片岸俊幸社長が就任した。ロジネットジャパングループとなってから初の中期3カ年計画が始動し、初年度となる今期、「ロジネットジャパンの経常利益目標18億5000万円を達成し、飛躍の足固めをしたい」。グループ一体となってさらなる成長を目指す。

グループは前期、過去最高益

――札通社長就任の抱負は。
片岸 〝現場第一主義〟。自ら現場に足を運び、末端まで経営方針を浸透させる。中央通運社長時代は年間70~80回ほど関東の営業所を回った。札通でも積極的に回りたい。
――社員の反応は。
片岸 確実に意識が向上している。社員との意識共有で現場の問題点をいち早く把握し、改善につなげたい。
――ロジネットジャパングループは平成28年3月期、過去最高益を上げた。
片岸 今期はさらに上を目指す。そこで、新規営業を拡大させる。2月にグループ全体の新規営業を担う「営業開発部」をロジネットジャパンの東京に設置。グループ横断的に全国で新規提案ができる体制を整備した。
――本州での営業拡大を継続。
片岸 「果敢に挑戦」をテーマに東名阪で集中的に営業を行っている。全国にロジネットジャパンの名前が浸透し、荷主からの引き合いも増えている。
――一方、北海道の物量は伸び悩みが続く。
片岸 今後も札幌への一極集中が進む。道内事業者全体の課題でもあるが、地方の物流をどうするか、会社の枠を越えて考える必要がある。貨客混載の実証実験に参加した。基幹事業の一つである特積み事業でも、地方の物流をどうするか考え、抜本的な見直しを行っている。

トレーラーを活用し成長に

――成長の鍵は。
片岸 輸送力と倉庫運営能力だ。トレーラーシャーシを使う輸送モードは、北海道―本州間の物流に不可欠。約450本シャーシを保有しており、中間地点でトレーラーを交換するスイッチ輸送を本州でも展開したい。
――労働時間の削減にもつながる。
片岸 関西―東北間のトレーラー輸送を関東の拠点でスイッチするなど、一部では先行してスタートした。現在ドライバーの内製化を進めている。若手を確保・育成して輸送力を強化する。そのためにも、長時間労働の見直しをはじめとした労働環境改善は急務だ。
――品質にもこだわる。
片岸 もちろんだ。ドライバー教育は、品質向上の第一歩。同時に営業拡大には、協力会社の助力も欠かせない。ロジネットジャパンの考える品質基準を浸透させ、輸送品質のレベルアップを図る。
――静岡以西の事業をロジネットジャパン西日本に一本化した。
片岸 4月に札通の中部・関西の事業をロジネットジャパン西日本に統合した。配車の共有やインフラの相互利用などでシナジー(相乗)効果が出始めている。
――ロジネットジャパンでは全国展開をさらに加速する。
片岸 今期、ロジネットジャパン西日本で中部・西日本の事業基盤を盤石にし、次は九州へのM&A(企業の合併・買収)、業務提携も視野に入れ、本格的な全国展開の足掛かりとしたい。
――今期から中期経営計画が始動。
片岸 やりがいを感じている。グループの中核事業会社として改善、改革を通じて業績をけん引していく。グループの今期目標である経常利益18億5000万円以上を達成し、飛躍の足固めをしたい。

記者席 〝論より証拠〟で

武骨な印象で、「しゃべるのは苦手」と記者泣かせ。座右の銘も〝論より証拠〟と実直な人柄をのぞかせる。
どんな立派な理論よりも「結果を残すことが大事」。仕事でも、現場を重視し足しげく通う。プラットフォームを回り、社員の声に耳を傾け問題把握に努める。「物流の基本は現場。いち早く現場の声をくみ、経営に生かしたい」。本社での週1回のミーティングを通じて、問題点の把握、行動計画策定、進ちょく管理を行い、着実に課題解決へと進める。
スポーツが好き。中でもバスケットボールは、若い頃自分でもプレーした。「いまでは見る専門」と謙遜するが、がっしりした体つきは見るからにスポーツマンタイプ。「(北海道が地元の)日本ハムやコンサドーレ札幌も応援している」と地元愛も。

(略歴)
かたぎし・としゆき=昭和31年6月26日生まれ、60歳。北海道出身。54年札幌商科大商卒、札幌通運入社、平成20年1月中央通運に出向し執行役員通運事業部長兼チュウツウ社長、6月常務、24年専務、26年社長。28年2月10日札幌通運社長就任。(佐藤 周)