インタビュー

【 この人 】
思い有りや無しや

2016年07月19日
ジェイアール東日本物流 市川 東太郎 社長
就任から1年が経過した。JR東日本では、ダイヤに合わせ、列車を走らせるための体制づくりに携わってきた。車両は何を使うか。メンテナンスはどうするか。「物流も旅客鉄道も考え方や現場感覚は似ている。人が物に、鉄の車輪がゴムタイヤに替わっても、道具をどう組み合わせて全体最適を図るかという理念は変わらない」。
人流とともに国民の生活を支える物流。「空気のように当たり前に扱われ、下流に見られがちな業界をどう盛り上げていこうか」との意識も強い。
「JR東日本グループ関連物流の全体最適をさらに追求したい」。ジェイアール東日本物流の事業基盤の一つはJR駅構内の店舗配送、いわゆる「エキナカ物流」。主要駅では「エキロジセンター」を基点に構内配送を集約して手掛けている。
グループならではの新たな取り組みも。4月、ジェイアールバス東北、東北鉄道運輸と3社で「地域活性化物流LLP(有限責任事業組合)」を発足した。高速バスやトラックの空きスペースを活用し、地産品を低コストで効率的に輸送。物流から地域活性化を図るプロジェクトだ。第一弾としてバスの空きスペースを使い、青森県産の菓子を東京に届けている。「LLPの仕組みで運ばれた商品が首都圏で広く認知され、育ってくれれば」
座右の銘は「思い有りや無しや」。全ては思いから始まる。「すぐに諦めてはダメ。時間がかかっても何かを実現するには思いを持ち続けることが大切」。息抜きは野球観戦、かつて習っていたピアノの弾き語り。「ギターと同じ感覚で歌謡曲などを歌う」。自宅でできるストレス解消法だそう。
(略歴)
いちかわ・とうたろう=昭和39年9月29日生まれ、51歳。群馬県出身。63年早大理工卒、東日本旅客鉄道(=JR東日本)入社、八王子支社運輸部長などを経て、平成24年運輸車両部次長、26年同担当部長、27年ジェイアール東日本物流社長。(水谷 周平)