インタビュー

【 この人 】
誇り高い社員と共に

2015年10月13日
阪九フェリー 小笠原 朗 社長
6月に社長就任。「公共交通機関として社会的責任がある。身が引き締まる思い」。国内長距離フェリーの先駆けとして、「社員と共に会社を発展させていきたい」。
政府系金融機関で30年勤務。阪九フェリーに入り2年が経過した。「風通しが良く、現場力が高い会社」。非常時には「指示がなくても一人一人がしっかり役割を果たす。社員のまとまりは目を見張るものがある」
今年は12年ぶりとなる新造船を2隻就航。景気低迷や道路偏重の政策などで経営難に陥り、6隻から4隻に減船した時期もあった。「社員の喜びが痛いほど伝わってきた」
新船は省エネ性能の追求、大型化を生かした空間づくり、細部には女性目線のアイデアも散りばめた。しゅん工後、造船所長から「こんなに注文をつけられたのは初めて。だが当初よりはるかに良い船になった。技術屋冥利に尽きる」と言われたという。この時は「私も熱くなった」。
新船はトラック積載力を増強した。瀬戸内航路では新船ラッシュだが、荷動きは伸び悩み貨物部門の数字は「予想を下回っている」。今後は「適切な競争環境を保っていきたい」。
旅客部門は好調。新船効果で泉大津―北九州航路では旅客数が6割ほど増え、金額ベースでは「もっと伸びている」。旅行需要の回復と高級志向もあり、スイートルームの稼働率が上昇。「ハードルは高いが、部屋食にも挑戦したい」
高校では5種競技、大学では陸上短距離に汗を流した。趣味は海釣り。小学校低学年から始め、中学では小遣いを握り締め1人乗合船に乗った。磯、船、大物釣りと何でもござれ。「これまで釣りで犠牲にしたものは数知れない」と笑う。
(略歴)
小笠原 朗氏(おがさわら・あきら) 昭和30年9月15日生まれ、60歳。神奈川県出身。54年東大法卒、日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)入行、平成20年九州支店長、22年DBJキャピタル社長、25年阪九フェリー常務、27年6月社長就任。(丸山 隆彦)