インタビュー

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【 この人 】

伝統航路の重責を担う

2025年08月19日

阪九フェリー 嶋津 優一 社長

 小笠原朗前社長に代わり6月、就任した。「伝統ある公共交通機関のトップとして重責を担い、安全運航を最優先に事業を展開する」
 大学卒業後は主に政府系金融機関や投資会社に勤務。企業向けの融資やM&Aを通じた海外進出支援などを手掛けてきた。「運航便が発着する関西と九州で仕事をしたことがあり、不思議な縁を感じている」
 利用動向に目を向けると、労働時間規制への対応や環境負荷の低減を背景に乗船台数は伸びているが、モーダルシフトは道半ばと捉えている。海上輸送の優位性を最大限に引き出すには無人航走が最適だが、機材と輸送体制を整える必要があり、普及には時間がかかるとみている。無人航走にチャレンジする新規ユーザーをサポートする体制の充実を図る。
 対処が必要な経営課題も多い。一例が昨年12月に発生した、新門司(北九州市)―泉大津(大阪府)航路に配船するカーフェリー「いずみ」の機関故障。現在、健全性が確認された片側の機関を使った臨時運航を行っているが、通常よりも航行時間が延び、利便性が低下している。「メーカーや造船所と連携し、通常運航を取り戻す働きかけを行っている」。平日に乗船が集中し、週末便の船腹に空きが発生している状況の改善策も模索している。「解消できれば、運航船を増やすことも視野に入ってくる」
 趣味はスポーツ。特にラグビーが好きで「高校や大学院で仲間と共に汗を流した」。小型船舶の免許も保有。阪九フェリー入社決定後に取得したもので「船社で働くために必要な知識を身に付けたいと考え挑戦した