インタビュー

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【 この人 】

「正面から向き合う」

2025年08月05日

 センコー 大越 昇 社長

 「創業109年のバトンを引き継ぐことに迷いがなかったと言えばうそになる」と内示を受けた際の思いを吐露した。入社45年、一貫して断らなかった男が初めてちゅうちょする表情を見せたが、トップとして率いる覚悟を即決。今年4月、杉本健司前社長の後を継いだ。
 就任第一声は「社会に必要とされる企業でありたい」。ドライバーの労働規制強化、中長距離の輸送力不足など時代の変化が押し寄せる中、単なる運送会社ではなく、経済インフラとしての使命を全うしつつ、事業の成長に挑んでいく。
 企業規模が拡大する一方、何事も正面から向き合う姿勢を貫き通す。最初の配属先ではリフトオペレーター、ドライバーなどの現場作業から請求書作成といった事務方まで経験した。ある日、配車係の先輩社員が退職して後任を託されると、百戦錬磨の作業員と相対することに。業務の苦労を共有することで信頼関係を築き、社会人として成長の礎を固めた。
 2026年度を最終年度とする5カ年中期経営計画では、グループ売上高1兆円を掲げる。サービス品質や営業力に磨きをかけるとともにM&Aを進め、確実に捉える考えだ。さらに次期中計の見通しは「国内物流が軸となる」。ランテックを含めグループ会社とは施設共同化に加え、人的資源や業務の一体化を契機に、グループ全体の効率化を目指す意向を持つ。重量物、精密機器、危険物など特定スキルが必要な扱いも視野に入れていく。
 趣味は仕事。どんな人に対しても分け隔てなく接することに面白みを抱く人柄は、センコーを未来へとつないでいく。