インタビュー

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【 社長インタビュー 】

強みを再構築し成長へ 独自商品もより拡販

2025年07月01日

ロジネットジャパン 橋本 潤美 社長

 ロジネットジャパン(本社・札幌市)は4月、2028年3月期までの3カ年計画が始動した。橋本潤美社長は「世界的に見ても情勢が不安定な中で、しっかりと成長への足場固めを進めたい」とする。全国ネットワークの強みを再構築し顧客に訴求しつつ、独自商品の活用も推進。国際やEC事業のニーズも取り込みながら、目標達成を目指す。

 ――手堅い印象だ。
 橋本 売上高は850億円、経常利益は40億円と定めた。不確実な情勢の中で、成長のための投資余力は売り上げ増加で確保し、「人財」・拠点・IT・車両などの投資にしっかりと振り向けるため利益の伸びは抑えた。
 ――成長のための土台づくりを進める。
 橋本 ロジネットジャパン創立直前、札幌通運の利益率は低かった。統合による拡大を経て、20年で売上高は倍以上になり、利益も創出できるようになった。30年度売上高1000億円達成のために、今一度強い足場をつくり成長へつなげる。
 ――まずは既存事業。
 橋本 北海道から九州までのネットワークは強みだが、顧客への訴求力は足りていない。〝LNJEX〟として再構築し顧客の拡大を図りたい。九州でも数十台の車両を配置し自社・協力会社の力で毎日稼働している。多くの顧客に伝える。
 ――輸送力内製化も課題だ。
 橋本 これまでは協力会社の力も借りて本州の業務を行ってきた。ただ、ドライバー不足が課題になる中、安定的な輸送力の提供は不可欠だ。本州での売り上げが全体の7割を超える今、自前戦力の整備は急務だ。
 ――設備投資も検討。
 橋本 既存設備の建て替えや、ニーズに合わせた拠点新設などを検討している。賃貸・自前などニーズを見ながら最適な拠点展開を進めたい。

トレーラー輸送を磨き上げ

 ――幹線輸送では「R&R」を展開している。
 橋本 従来の小牧(愛知県小牧市)に加え、九州向けには尾道市(広島県)、中部と関東を結ぶ拠点として浜松市にもスイッチ拠点を整備した。トレーラー輸送は強みであり、今後もニーズが高まるとみている。
 ――ダイレクト輸送商品の「DDロジ」も展開。
 橋本 パレット単位で発注された荷物を着荷主に直納するDDロジは、流通の新しい形として訴求している。またワンウエーの環境配慮型紙パレットの活用は、国際事業や農産品輸送、小売りでの輸送などさまざまな用途に認知され始めている。一層の拡販を進めたい。
 ――国際事業も新たな柱へ。
 橋本 通関で培った長い歴史がある。大手の国際物流企業と違い、強い国内物流網を築いていることも差別化になる。まずは農産品を中心にあらゆる製品を対象に営業を行う。今伸びている分野でしっかり取り込みを図りたい。ECも成長分野でノウハウがある。拡大を進める。

M&Aは物流以外も視野に

 ――M&Aも視野に入れる。
 橋本 具体的にまだ決めていないが、物流だけに限らない。物流と相性が良い仕事や事業の多角化につながる企業も視野に入れたい。幅広に考えていく。
 ――IT化も加速。
 橋本 IT化は早い段階から着手し進めてきた分野。だからこそ、変えるのが難しい部分も生まれている。より効率的に事務や現場が回るように考え続けていきたい。4月から経営企画管理本部の下にDX推進部門を設け、もう一度根っこから取り組もうとしている。
 ――人材も重要。
 橋本 若手の確保・育成、中堅の登用、ノウハウのある外部人材の迎え入れ、いずれもやっていかなければいけない。処遇改善や魅力的な職場づくりを進め、やり切りたい。

記者席 成長に向けた一歩

 今年は、ロジネットジャパン創立20周年、札幌通運・中央通運(現・LNJ中通)は創立75周年を迎える。歴史の重みは「諸先輩の挑戦の積み重ね」。重責を感じながら、成長に向けてのかじを握る。国内外で、不確実性が高まっている中で、今必要とするのは着実な足場固め。人材・施設・車両と未来に向けた投資を行い、さらなる企業規模の拡大を目指す。
 30年度までの長期ビジョンでは、売上高1000億円の目標を掲げた。グループ設立時の売り上げは約300億円。20年で2倍になり、利益率も大きく伸びた。「先輩たちが〝やれる〟と証明してくれた。同じ気持ちで伸ばしたい」。1000億円企業になれば、どんな景色が見られるのか。登り切るための力をつける3カ年が始まっている。