インタビュー

【 この人 】
〝横串〟でSC効率化を

2015年09月15日
ブリヂストン物流 坂梨 明 社長
財務畑出身。数々の海外勤務では管理部門全般を任され、成長著しいタイや中国にも明るい。3月のブリヂストン物流社長就任後、全国35カ所の事業所を回ってまず感じたのは「現場スタッフの意識や責任感、教育レベルの高さ」だ。海外勤務で見てきた現地の物流に比べ、整理・整頓・清掃や誤出荷の防止をはじめとした作業標準の徹底ぶりに驚かされた。
同社の使命は、「物流面からのグループへの貢献」。新品タイヤ以外にも、近年扱い始めた自転車、スポーツ用品、工業資材など化工品を含むブリヂストングループ全体のサプライチェーン(供給網=SC)の効率化を目指す。「グループで物流を担うのは当社のみ。横串を差した効率化を提案する余地がある」
例えば、久留米工場から関東まで製品を運んだトラックで、原材料や化工品を載せ九州に戻る。5月にオープンした岩槻事業所では初めて、リトレッド(更生)タイヤと新品タイヤを販売店に共同配送する取り組みを開始した。
一方、トラック運送会社の負担軽減に向けては、10年ほど前から待機時間の削減に注力。当初は30分を超えるケースも多かったが、現在ほとんどの事業所で待機15分以内を実現。「今後さらなる短縮を進めるとともに、当社事業所から先の現場での荷役作業改善を図りたい」。
工場から同社事業所を出発するまでの荷役作業では、自動仕分け装置、積み込み装置、特殊リフトなどによる機械化が浸透。販売会社サイドの領域で、一定の積載効率を維持しつつ、いかにして作業負担を軽減していくか。「本当の意味で〝選ばれる〟荷主になるために、真剣に考えていく」
(略歴)
坂梨 明氏(さかなし・あきら) 昭和33年4月12日生まれ、57歳。福岡県出身。59年東大経卒、ブリヂストン入社。欧州、タイ、豪州の現地法人出向などを経て、平成21年生産部長、22年財務本部長、25年GLC企画管理本部長、26年内製企画本部長、27年3月ブリヂストン物流社長就任。(矢田 健一郎)