インタビュー

【 社長インタビュー 】
グループ経営強み磨き 将来の海外展開も構想

2024年09月17日
マルソー
渡辺 雅之 社長
1913年の創業から111年、54年8月の設立から70年を迎えたマルソー(本社・新潟県三条市、渡辺雅之社長)は、平ボディー車による鉄骨輸送を含め、グループとして独自の強みを磨き付加価値の高いサービスを追求する一方、職場環境整備を進め、SNSによる発信も強化している。渡辺社長は「今後、海外でも機械搬入・据え付けなど強みとする事業の展開の検討も視野に、グループの成長を図る」と話す。
―近況は。
渡辺 今期(2024年9月期)は本体、グループ共に過去最高の業績を見込む。連結売上高は150億円程度を予想。グループで一部苦戦する事業はあるものの、物流関連事業での平均5%前後の運賃値上げ効果が大きい。県内では首都圏向けを中心に鉄骨関連の荷動きが堅調。当社グループでなければできない強みを長年磨いてきた成果も出ている。
独自サービス付加価値追求
―独自の強みとは。
渡辺 例えばマルソー・トランスポートでは100台を超える平ボディー車を保有。過去、他社がウイング車に切り替えを進め苦しかった時期に平ボディー車を残した。加えて鉄骨を、建築図面を基に納品先でスムーズに引き渡しできるよう荷組みをするノウハウも備える。メーカーにも納品先にも喜ばれるサービスを追求してきた。荷物の種類によらず、顧客の倉庫内作業から出荷まで伝票発行などのシステム周りも含め、仕組みとして提供することで、差別化しているケースも多い。
―だからこそ値上げ交渉もできる。
渡辺 顧客の物流全体を最適化できるよう仕組み構築に努めており、当社からの要請に見合うだけの価値提供をできていると確信している。(ドライバーの労働規制強化に伴う)2024年問題が叫ばれる中でも、いまだ協力を得られない顧客もあるが、当社サービスのメリットや運送業界の状況を粘り強く説明しつつ、覚悟を持って引き続き交渉を進める。
―M&Aを推進し事業を多角化してきた。
渡辺 景気の波に左右されにくいグループ経営を目指し、今後もM&Aに取り組む一方、人口減で内需拡大が見込みづらい状況を踏まえ、海外展開の検討も視野に入れている。近年ベトナムから実習生を受け入れ、自動車整備などの他、機械搬入・据え付けを手掛けるMARUKI(旧・丸喜重量運輸)の現場で活躍している実習生もいる。今年はネパールからも受け入れており、身に付けた技能を生かせる受け皿づくりができればというのが一案だ。
多様な人材活躍、職場に活気
―職場環境づくりを進めてきたことが働く人から選ばれる要素に。
渡辺 ベースアップにも取り組むなど働きやすい職場づくりは意識して進めている。長年取り組んできた中で感じるのは昔はもっぱら給与が重視されたが、近頃は給与だけでなく休日の確保や業務内容、保育園など子育て世代や女性が安心して仕事できる環境の重要性。多様な人材が活躍できる職場は活気もあり、身だしなみやマナーへの意識も高まっているのを実感している。
―SNSにも力を入れている。
渡辺 (動画投稿アプリ)「ティックトック」ではフォロワー数も増えており、4月に関西物流展にSNS担当者と行った際に「いつも見ているよ」と声を掛けてくれる人がたくさんいた。さまざまな発信の機会を捉えて知名度を一層高め、顧客により身近な存在でありたい。