インタビュー

【 この人 】
荷主へMS促進発信

2024年08月13日
全国通運連盟
馬場﨑 靖 理事長
6月の役員改選で就任。「歴史と伝統のある業界団体で、打診を受けた時は光栄に感じた。さらなるモーダルシフト促進に向け頑張っていきたい」
運輸省では駆け出しの頃、1990年施行の物流二法に関する政省令や通達の整備に携わり、「役人人生の中でも印象深い仕事だった」。90年末の運輸政策審議会物流部会答申で国が本格的にモーダルシフトの推進を掲げた時期と重なり、トラックを貨車に載せて鉄道で運ぶピギーバック輸送の税制優遇措置実現に尽力した経験も。
国土交通省の物流政策課長在任時は、東日本大震災での課題を基に支援物資物流に関する報告書をまとめた。発災後の燃料油不足に対応し石油列車を走らせた貨物鉄道の活躍も含め「物流は世の中を支えている」と実感。退官後は東京シティエアターミナル専務、JR貨物グループの日本運輸倉庫監査役を歴任した。
長距離に加え、中距離でもトラックドライバー不足が深刻化し、「一度に大量の貨物を運べる鉄道を用いた輸送体系の再構築が重要に」。鉄道貨物輸送量倍増を掲げた政府方針を追い風に、JR貨物との協力関係を強めながら、「連盟として声を上げることが大事。荷主に対しても、持続可能な物流のため鉄道貨物を利用してもらえるよう発信を強めていく」。
連盟の運営では「実際に現場を動かしている会員企業が参加する委員会での議論を大切にしたい」。役人時代から培ってきた「現場重視こそ基本」の考えが根底にある。
健康のため、朝はストレッチ、休日はウオーキングと毎日体を動かすことを心掛ける。
(略歴)
ばばさき・やすし=1964年5月14日生まれ、60歳。福岡県出身。1988年阪大法卒、運輸省(現・国土交通省)入省、2011年総合政策局物流政策課長などを経て、17年大臣官房審議官、20年大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官、21年退官、24年6月全国通運連盟理事長。