インタビュー

【 この人 】
強みはオーダーメード

2015年08月04日
三菱商事ロジスティクス 田村 幸士 社長
10年ぶりに物流の世界に帰って来た。「速い環境変化の中、どう生き残るか」。「商社系物流企業」として、激変する環境にも柔軟に対応してきた商社のDNAを引き継ぐ。
会社発足以来のコンセプト『ロジスティクスのその先へ』。「自らを超克するベンチャー精神のある会社であるべき」と再認識。過去や他社にとらわれず、業態やサービス、ターゲットに変化を持たせ、「オンリーワンのユニークな事業体を目指す」。
「オーダーメード型の物流」が強み。イメージは「量販店ではなく、輸入品専門の会員制ブティック」。三菱商事はじめ親密な関係を持つ荷主企業10社ほどに約20人の出向社員が常駐。顧客の懐に入り込み、物流の企画立案を行う。量の追求よりも、「ニーズを深掘りして質を高める」。自動車、アパレル、工業製品、食品。各業界に詳しいエキスパートをそろえる。
将来の目標は「物流を切り口に顧客の経営課題解決をサポートしたい」。「〝物流費は1.5倍になるが、御社の売り上げは3倍になる〟という提案が理想」
若手には期待を持って、経験を積ませるチャンスを。今年度は12人の新入社員が仲間入り。「最大の投資対象は人。ノンアセット型の当社は〝人〟が利益を生む」
臨済宗の言葉「賓主歴然(ひんじゅれきねん)」を座右に置く。客人と主人では違いがある。「いま風に言えば、ダイバーシティー(多様性)。当社も多様な出自の人がいる。互いの違いを認め合うことがスタートライン」
楽しみは京都訪問。読書では、出久根達郎、須賀敦子といったエッセイストの作品を愛読。最近は古典にも挑戦する。
(経歴)
田村 幸士氏(たむら・こうじ) 昭和40年1月4日生まれ、50歳。東京都出身。63年慶大法卒、三菱商事入社。物流サービス本部付戦略企画室長、新産業金融事業グループCEOオフィス経営計画担当兼CIOなどを経て、27年4月三菱商事ロジスティクス社長。(水谷 周平)