インタビュー

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【 社長インタビュー 】

倉庫、共配も強みに 多様な選択肢で改善提案 

2024年02月06日

中越運送
中山 元四郎 社長

中越運送(本社・新潟市、中山元四郎社長)は今期、事業環境が厳しい中でも増収増益を計画する。ドライバーの労働規制強化に伴う2024年問題を受け、顧客の側でも物流網を見直す動きが増える中、「保管、輸送を含め物流をトータルで設計・構築できることは大きな強み」と中山社長。自社資源の活用や協力会社との連携をさらに進め、商機をつかむ考えだ。

―荷動きは依然厳しい。

中山 当社は12月決算だが、昨年は1年を通じて荷動きが振るわなかった。今年に入っても回復の兆しはなく、まだ底を打っていないのではないか。

―そうした中でも適正収受を進めた。

中山 荷動きが鈍く、業界全体で交渉の機運が盛り上がりに欠けた時期もあったが、24年問題も控える中、粘り強く取り組み、運賃やサーチャージで協力を得られた部分もあった。だが、物量減を補うには至らず、業績的にも厳しかった。国際物流と、ダイレクトメールを扱うCFS(中越フレキシブルサービス)事業の減収もあった。

―今期は。

中山 増収増益を計画している。荷動きは、人口減少もあり、コロナ禍前には戻らない可能性もある。厳しい環境には違いないが、運賃・料金の改定を継続していかなくてはならず、倉庫や共同配送といった領域で新たな需要も見込まれ、材料は十分にある。

―24年問題はむしろチャンス。

中山 無駄を見直し効率化できる部分もある。また、24年問題で長距離が運べなくなることで、顧客の側で在庫拠点を複数持つ動きも増えるのではないか。従来、特積みネットワークで1拠点から全国に輸配送していた顧客が、東西に在庫拠点を構え、在庫を都度補充する形が一例として想定される。幹線は貸し切り便による大量効率輸送となり、求められる輸送網も変化する。そうすると、恩恵を受けられるのは倉庫や共配ができる企業ということになる。

物流をトータルで設計・構築

―倉庫と輸送一体でのロジスティクスや、地域共配は実績豊富だ。

中山 共配では、例えば新潟県内でも食品や住宅設備で長年の実績がある。ノウハウを新規エリアや新規顧客に展開することも一案。保管から流通加工、輸配送まで顧客の物流をトータルで設計・構築できることが当社の大きな強みだ。

―さらに磨く。

中山 保有するインフラ、蓄積したノウハウをこれまで以上に、最大限活用していく。協力会社との連携も進める。新潟県上越市では今夏、危険物倉庫を2棟増設する計画で、本業に専念したい顧客のニーズもしっかりと捉えていく。

―24年問題が目前に迫る。

中山 当社の場合、自社で展開するエリアは片道約600キロメートルの範囲に収まる。準備はほぼ整えており、残り数カ月で仕上げに入る。九州向けなど協力会社にお願いする遠方の輸送もあり、4月以降スタートすることで見えてくることもあるだろうが、コンプライアンス(法令順守)徹底を着実に進めていく。

さらに魅力ある会社づくり

―社内ではどんな発信を。

中山 環境は厳しいが可能性はたくさんあるということと、人材が定着する魅力ある会社にしようということ。異業種でも人手不足の中、魅力づくりの点で待遇とやりがいを高めることが重要。1年目の若い人などは実務面で覚えるべきことも多いが、少しずつ慣れて仕事を覚えることで楽しみも増えてくる。今後は、挑戦できる環境づくりも見据え、一人一人に向き合っていくことも大切だと考える。

記者席 意識変えること必要

「物価がどんどん上がっている。1杯1000円を超えるラーメンも増えてきた。運賃についても、今後も上がっていく」。物流業界の主要課題であるコスト転嫁についてそう語る。

コスト転嫁は、ドライバーの待遇改善を図る上でも不可欠。今や人材確保は異業種との競争でもあるとし、「異業種から来るドライバーに定着してもらうためにも、コスト転嫁が一番遅れた業界だというレッテルをはがさなくては」。

政策パッケージをはじめ、国がかつてないほど物流業界を後押ししており、4月には新たな標準的な運賃と新運送約款も適用される。「業界の現状に対する理解も広がってきたと思う。どう転嫁するかは、物流企業の責任。われわれも意識して、努力しないといけない」