インタビュー

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【 社長インタビュー 】

3PL高度化へ積極姿勢 成長支える人材育成注力

2023年11月28日

丸全昭和運輸 岡田 広次 社長

―中計2年目。3PLの拡大と高度化を図る。

岡田 自社一元管理・運営を強みとしつつ、顧客の課題解決に向けたコンサルティングも手掛ける独自のLLP(リード・ロジスティクス・プロバイダー)サービスへと発展させたい。社内では「MALоS(マロス)」と銘打っている。予算計画の策定段階から顧客の懐に入り込み、検証と入念な打ち合わせを経て最適な物流を提案。より上流からの3PLを手掛け、顧客にはモノづくりに専念してもらうイメージだ。

―強みを生かせる分野をターゲットに設定。

岡田 成長7業界(ロボット、医療機器、半導体製造装置、半導体材料、蓄電池、電子部品、産業機械)や、既存顧客の成長産業をターゲットにしており、好感触を得ている分野もある。農産物と危険物は差別化を図れる分野だ。現場力・提案力・課題解決力を備えた人材の育成と積極的な設備投資に力を注ぎ、自前の戦力・施設・車両によるアセット型サービスを強みにニーズを開拓していく。

―国内外で拠点開設を進めている。

岡田 拠点網を充実させなければ売り上げ拡大は図れない。8月、中国の平湖(ピンフ)で丸全電産ロジステックの新倉庫がしゅん工し、本格始動。国内では丸全北海道運輸が12月にも、北海道苫小牧市に倉庫を新設する。東南アジアでの拠点新設も計画している。

自社研修施設をさらに活用

―北海道の新倉庫は危険物倉庫を併設する。

岡田 北海道から東北、関東、中部、関西、中国、四国、九州まで全国で危険物の保管と輸送に対応できる拠点網が整いつつある。創業以来、化学メーカー物流の請け負いを通じて培ってきた危険物のノウハウを生かし事業拡大を図る。危険物を適切に取り扱える人材のさらなる育成も不可欠だ。

―人材確保・育成は企業基盤強化の柱の一つ。

岡田 基幹システムの刷新やAI、RPA(ロボットによる業務自動化)を含むDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めているが、システムを構築し生かすのはやはり人だ。昨年3月に開設した川崎市の自社研修施設「創生館」や資格取得制度、通信教育の仕組みをさらに活用し、グループ全社員のレベルアップを図りたい。

中継輸送拠点の設置を検討

―2024年問題への対応は。

岡田 長年、通運事業を手掛けていることから、トラックから鉄道へのモーダルシフトを複数の顧客に提案し、採用されている。またドライバーの労働時間短縮を共通認識として、顧客と協働し改善を推進。手積み手降ろしを解消するべくパレットで保管・荷役・輸送を一貫して行える仕組みづくりや、受注の締め切りを早めてもらう提案を行ってきた。東京―大阪間では、浜松付近でドライバーを交代させる中継輸送拠点の設置を検討している。

―人材確保には賃上げも欠かせない。

岡田 賃上げも、SDGs(持続可能な開発目標)への対応も、上場企業に求められるPBR(株価純資産倍率)向上も、持続的な企業成長を目指すための取り組みには原資が必要。だからこそ、これまで脈々とつないできた安全・品質をさらに磨き、顧客の信頼を獲得しながら、売り上げを伸ばし利益を確保する好循環を回すことが大切だ。

記者席 何事も「一生懸命」

「学ぶ情熱と努力がなければ、顧客には認めてもらえない」。社是「熱と努力」の下、安全と品質にこだわる現場力の強化に向けた人材育成を重視。4月の組織改正で改称した物流品質管理部が中心となり、長年培ってきた安全文化、QC(品質管理)活動といったDNAの伝承に力を注ぐ。

座右の銘は「一生懸命」。何事も一生懸命頑張らなければ、自身が納得できず、周囲の評価も得られない。自ら現場へ足を運び、若手をはじめ社員たちに、口を酸っぱくして「一生懸命勉強をしなさい」と呼び掛ける。

健康法は、よく食べて、よく眠ること。釣りと武道が趣味だが、近年はご無沙汰気味。特に武道は、精神の鍛錬につなげてきたという。