インタビュー

【 社長インタビュー 】
全国網強みに外販拡大 女性雇用も積極的に

2015年06月09日
SGモータース 佐野 友紀 社長
SGホールディングス(本社・京都市、栗和田栄一会長)グループで、車両整備・販売やボディー製造を手掛けるSGモータース(同・東京、佐野友紀社長)は今期、全国の整備・販売ネットワークを強みにさらなる外販拡大を目指す。サービス基盤の充実と品質向上を図りながら、需要の高い中古トラックの販売にも注力。人材確保に向け「女性を中心に雇用を拡大していく」(佐野社長)。
整備単価の適正収受進める
――平成27年3月期は増収増益に。
佐野 売上高、営業利益ともに過去最高になった。代替えや増車に伴う佐川急便向けの需要、いわゆる内販が業績をけん引したが、外販も10%伸長した。特に好調だった新車販売に加え整備も堅調だった。
――今期も外販強化を。
佐野 当社を含め、不動産などSGHグループ各事業会社が外販の拡大を命題としている。今期も外販を一層強化し、前期40%だった外販比率を45%強にしたい。
――整備部門は人手不足が重要課題に。
佐野 トラックドライバー同様、整備士の不足が深刻化している。整備品質の均一化を担保するため、今期は顧客に対し整備単価適正化に向けた交渉を進めていく。合わせて整備品質にも一層の磨きをかけていきたい。
――サービス基盤の充実も推進。
佐野 前期は積極的な設備投資を行った。整備工場の設備更新に加え、岡山県と静岡県にあるボディー製造工場では作業の効率化を図る溶接用ロボットを導入した。
――営業拠点の新設・拡張も。
佐野 東大阪店の整備工場拡張を年内にも完了させ、来年には現・大阪店を1.5倍の敷地に移転し、「西大阪店」を新設する。外販拡大に弾みを付ける拠点にしていく。
――外販拡大に向け、何を強みに。
佐野 当社は27の自社工場、300近くの協力工場による全国の整備ネットワークを持つ。全国どこでもきめ細やかに対応できる体制をさらにアピールしたい。4月に始めた、整備の進ちょくを顧客がウェブ上で確認可能な車両管理システムも売りにしていく。
――今期は中古トラックの販売も注力。
佐野 今年から営業部門に「中古車企画課」を設け、販売から整備・メンテナンスまで一貫したサービスの営業を強化。良質な中古車とともに高品質な整備サービスを提供していく。自社による海外での中古車販売も視野に入れていきたい。
2年後に女性比率を15%に
――人材確保へ女性の雇用も進める。
佐野 男性とともに女性の整備士や契約社員の採用を進め、29年度までに女性比率を15%強まで高めたい。東大阪店では、短時間で働ける主婦を契約社員として採用。整備士免許がなくてもできる作業に従事してもらう体制を導入した。整備士が本業に専念できる環境づくりにもつながる。このモデルを全国へも展開していく方針だ。
――女性が活躍できる環境整備が重要に。
佐野 月に1度、女性従業員だけを集め、約1時間のミーティングを行っている。女性が働きやすい職場づくりを進めることが目的。昨年は彼女たちの意見を取り入れ、整備工場にシャワールームや女性専用の休憩室を設置した。
――人材育成にも力を。
佐野 昨年から店長や課長、工場長など管理職向けの研修を開始した。マネジメント力を磨いてもらう場だ。整備士向けの研修に加え、管理職の人材活用や店舗運営といったマネジメント力を磨くことで、サービス品質のさらなる向上を図っていきたい。
(記者席)新たな領域参入へ
昨年開始した「SGモータース子ども参観日」。社員の子どもたちを営業拠点に招き、業務体験を通じて、車両整備に興味を持ってもらうイベント。「将来の人材確保を見据えた活動」でもある。
親が仕事をする姿を見て、「子どもたちは感動して帰っていく」。親子のコミュニケーションを深めるきっかけにも。参観日を機に、仕事に誇りを感じる社員もいる。「定着率向上にもつながる」。今後は全国各地で開催し、地域の子どもたちに参加してもらうことも考案中。
就任から約1年半。3月には本社機能を東京都江東区に移転し、心機一転。10年後に向けたビジョンの策定にも着手。「車両に関わる新たな事業領域への参入も考えていきたい」。将来に向けた種まきの季節が、いよいよ始まろうとしている。
(略歴)
佐野 友紀氏(さの・ともき) 昭和38年4月8日生まれ、52歳。京都府出身。60年京都佐川急便入社、平成15年関西支社営業部部門長、16年執行役員、20年東北支社長、23年関西支社長、24年取締役、26年SGモータース社長。(水谷 周平)