インタビュー

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【 この人 】

改革から攻めへ

2022年04月26日

アキタ 原田 謙治 社長

 10年ほど指揮を振るった加藤誠前社長による改革路線を引き継ぎ、2021年9月末に就任。かつて会社には、旧態依然とした体質があった。副社長時代は財務を担当したが、その改革とはいわば守り。だが今は攻めの芽が出ているという。
 「地力が付いてきた」。社員の協力を得て、デジタル化による効率化への素地をつくった。ロボット点呼をいち早く取り入れ、昨年、約1000人いる社員にスマートフォンを支給。最新の車載器を約650台の車両に取り付けた。リアルタイムでの車両動態・温度管理から、ドライバーの勤怠管理までを継ぎ目なく連携する仕組みづくりでも、取り組みを加速させている。
 残業上限規制でドライバー不足が懸念される2024年問題に対しては、「クリアできる」。もともと全運行に占める自社車両比率が約7割と高い。改善基準の順守徹底とデジタル化による改善を行い、物流品質とドライバー1人当たりの生産性を高めてきた。拠点網整備も進めている。
 顧客や社員には「誠意をもって接し、共に歩んでいく道をつくることが大事と思っている」。
 出自は異色。大卒後は広告会社のコピーライターに。1980年代後半のバブル経済真っただ中、寝る間もなく仕事に追われ、楽しいことは1つもなかった。「まさに昭和。残業代ももらえなかった」。だからこそ、職種は違うが、多重構造の業界で働くドライバーの気持ちも「理解はできる」。軽油高によるコスト上昇で苦しい経営が続くが「社員と共に乗り越え、明るい未来をつかんでいきたい」。趣味は登山。