インタビュー

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【 社長インタビュー 】

90周年、歩みを着実に 3PL核に中計達成へ

2021年09月14日

丸全昭和運輸 浅井 俊之 社長

 8月、丸全昭和運輸(本社・横浜市)は創立90周年を迎えた。節目となる2022年3月期は現・中期経営計画の最終年度として、連結売上高1350億円(前期比11・4%増)、連結経常利益110億円(同4・9%増)の目標達成を目指す。「3PL事業を伸ばしつつ、農産物物流や中ロット輸送に注力していく」と浅井俊之社長。設備投資にも積極的だ。

 ―8月17日に創立90周年を迎えた。
 浅井 顧客をはじめさまざまなステークホルダー(利害関係者)のおかげで、今日まで事業が継続できたことに感謝したい。諸先輩の努力で多くの苦難を乗り越えてきたからこそ、いまの当社の発展がある。その思いを忘れることなく、顧客から信頼され続ける企業としてしっかりと歩みを進めていきたい。
 ―節目となる22年3月期の滑り出しは。
 浅井 21年4~6月期は、経済活動の回復基調により国内貨物輸送量、輸出入取扱量が増加し、増収増益。過去最高の売上高と9期連続の増益を目指す通期目標の達成へ順調に推移している。今期も事業競争力強化の要となる3PL事業を伸ばしていく。

農産物、中ロットにも注力

 ―3PL事業の現況は。
 浅井 前期、既存顧客である建材メーカーのグループ会社の業務を受注し、業容を拡大。さらに電力機器メーカーから物流子会社が手掛けていた業務の移管を受け、物流の管理や運営に加え、企画立案、計画策定の機能も担うようになった。
 ―今後もさらに拡大を。
 浅井 化学・建材業界を中心的なターゲットとして、当社の輸配送網、安全・品質に関するノウハウを活用し、顧客の物流効率化と持続的成長に貢献していきたい。個別企業単位では効率化が難しいケースに対する共同物流の提案、鉄道・船舶を利用した長距離輸送体制の構築にも取り組む。
 ―東京―名古屋―大阪を結ぶ幹線と2次配送の中ロット輸送サービスが好調。
 浅井 化学品メーカーを中心に取扱量が拡大傾向だ。積極的な営業展開と運行の効率化に加え、鹿島地区(茨城県)発の幹線便運行を始めるなど対象エリアも広げている。今後も幅広い顧客のニーズに応えるため、危険物倉庫や温度管理機能を持った物流拠点の整備・拡充を進めたい。
 ―農産物物流にも注力。
 浅井 3月に鹿島支店(茨城県神栖市)の常陸那珂営業所(同東海村)が事業を開始し、コメ・大豆などの保管を行っている。今後は、バレイショやサツマイモなど取り扱いの幅を広げ、北海道からのフェリー輸送の活用も含めて事業拡大を図る。

グループの設備投資積極化

 ―グローバル物流は。
 浅井 コロナ禍の影響を注視し続ける必要はあるが、自社アセット型の事業展開を進める方針は不変だ。6月にはベトナムで自営拠点の営業を開始。マレーシアの既存自営拠点で手掛ける保管・配送業務も軌道に乗ってきた。今後も海外現地法人の事業拡大と採算性向上を推し進めていく。
 ―成長に向けた設備投資を積極化する。
 浅井 9月、丸全電産ロジステックの「伊那新倉庫」(長野県南箕輪村)が完成し、丸十運輸倉庫水島支店(岡山県倉敷市)の倉庫建て直しが完了する。10月には武州運輸倉庫が埼玉県加須市に危険物倉庫を新設する。来期以降は、茨城県笠間市で食品メーカー向けの定温倉庫や原料選別工場の建設を計画。中国の現地法人では、顧客の需要拡大に応じ、浙江省平湖(ピンフ)にある既存倉庫の建て替えを進める。

記者席 〝愛〟で物流を改革

 「物流は、愛だ。」。90周年記念のキャッチコピーだ。社員に脈々と受け継がれている社是「熱と努力」や、基本方針の「変革」「愛貨精神」「お客様第一主義」「品質」を基に作られた。「〝愛〟をもって、顧客の物流を改革する姿勢をブランドイメージとして広く浸透させたい」
 周年事業の一環で、本社近くの横浜スタジアムに広告を掲示。10 月に初陣を迎えるプロバスケットボールチーム「横浜エクセレンス」にも、公式トップパートナーとして協賛した。創業地・横浜への〝愛〟も強い。
 目指すのは世界一の顧客満足度。DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応など「物流に変革を起こし続けながら、次の100周年に向かい、さらなる社業発展に力を尽くしていく」。