インタビュー

【 社長インタビュー 】
拠点網拡充へ積極投資 8期連続増収増益目指し

2020年12月01日
丸全昭和運輸 浅井 俊之 社長
2021年3月期の連結業績で売上高1270億円(前期比3・4%増)、営業利益93億円(同4・8%増)を目指す、丸全昭和運輸(本社・横浜市)。新型コロナウイルスの影響が続く中、浅井俊之社長は「3PLとグローバル物流の拡大で、7期続けた増収増益の流れを途絶えさせず、成長を遂げていきたい」と意気込む。
―21年3月期連結業績は増収増益の見通し。
浅井 新型コロナの影響が大きく、20年4~9月期は減収増益。先行きは不透明だが、柱である3PLとグローバル物流の拡大、M&Aに取り組み、過去最高の業績だった20年3月期に続き、8期連続の増収増益を目指したい。
―3PLは拡大基調。
浅井 20年3月期は新規案件として、外資系農薬メーカー向けの保管・配送業務を開始。既存顧客の建材メーカー向け業務も拡大した。国内の自社拠点網の整備・拡充に力を入れ、化学・建材業界を中心的なターゲットとして開拓を進めていく。
各地で自社アセットを整備
―危険物倉庫の整備が相次ぐ。
浅井 化学品メーカーなどの危険物保管ニーズに対応する。東北2つ目の自社拠点として21年3月をめどにしゅん工する岩沼物流センター(宮城県岩沼市)に併設するほか、グループ会社武州運輸倉庫の埼玉倉庫(埼玉県加須市)でも21年7月をめどに危険物倉庫を新設する。一般倉庫の建て替えも計画し、外部倉庫で保管している貨物の集約や、新規顧客獲得による事業拡大を目指す。
―グループ全体で設備投資を積極化。
浅井 丸全電産ロジステックでは、9月に稼働した桐生倉庫(群馬県桐生市)に続き、長野県南箕輪村でも21年7月末完成に向け新倉庫の建設計画を進めている。日本電産グループをはじめ幅広い貨物の取り扱い拡大を図る。丸十運輸倉庫の水島支店(岡山県倉敷市)では、21年8月にも一部定温機能を備えた新倉庫が完成する。既存貨物拡大だけでなく、幅広い役割と多様な貨物に対応できる拠点にしていく。
―新たな事業展開も。
浅井 昨年開始した、東京―名古屋―大阪間で行う幹線と二次配送の中ロット輸送サービスは軌道に乗りつつあり、貨物量の増大を図りながら、早期の安定的運営と危険物貨物の取り扱いを目指す。農産物の物流にも力を入れる。当社の鹿島支店(茨城県神栖市)が来年1月、常陸那珂地区で農産物を扱うための定温倉庫を取得する。
―海外では現地法人の事業拡大を推進。
浅井 昨年、マレーシアのジョホールバルで自営倉庫業務を開始し、米国では冷蔵倉庫設備を増設。ベトナムでも自営倉庫を新設し、早期事業開始への準備を進めている。フォワーディングでは、港湾倉庫と内陸倉庫それぞれの特徴を生かした案件の獲得に注力している。
来年度から新人事制度開始
―来年度から、新しい人事制度をスタート。
浅井 人材の確保と定着率向上、社員の挑戦に対する意欲、専門性を高めてもらうことが目的だ。多様な働き方・キャリアパスに応じた等級、成果や生産性に対する適切な評価、メリハリのある報酬の各制度を基に、人材育成とも連動させることを基本方針とした。
―ITやマテハン導入への投資も進める。
浅井 今年度から、選定した事業所にマテハンやシステムを導入して業務効率化を目指すプロジェクトを展開中。通関など事務作業では、RPA(ロボットによる業務の自動化)の導入を推進。AI(人工知能)を利用した文字認識技術の実証も進めている。
記者席 業界No.1の働きがいを
来年度にスタートする、新人事制度のコンセプトは「業界ナンバーワンの働きがい!会社と社員が共に成長する丸全へ」。来年の創立90周年、さらに100周年へと歩を進めるための基盤となる。
社是「熱と努力」の担い手となる人材の確保と育成にさらに力が入る。外部の専門性の高い社員や、第2新卒といった中途採用の拡大に加え、既存社員やOB、OGから人材を推薦してもらうリファラル採用を積極化。
4月には、シニア社員の活躍推進を図り、卓越した知見と専門性で経営に関与し、成果の出せる人材が柔軟な勤務形態で働ける「高度専門職任命制度」を導入。家庭事情で通常勤務ができない社員や離職した社員が活躍できる制度も検討中だ。22年4月には研修所を開設し、社員教育の充実を図る。