インタビュー

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【 インタビュー 】

乗務員不足が懸念材料 利害関係者の協力不可欠

2019年08月27日

中部運輸局 坪井 史憲 局長

 経済産業省の工業統計調査では、中部地域の製造品出荷額は全国シェアの2割程度で推移しており、中でも愛知県の2017年出荷額は46兆9681億円と41年連続で第1位。坪井史憲中部運輸局長に、物流を取り巻く環境変化や施策を聞いた。

 ――7月に中部運輸局長に就任した。
 坪井 中部圏は日本を代表する企業が集積し、ものづくり産業を中心として日本経済をけん引してきた地域。物流も活発だ。中部運輸局として交通、観光、物流行政を通じ、地域振興へしっかりと支援していきたい。
 ――トラック業界を取り巻く環境をどう見る。
 坪井 ドライバー不足が一番の懸念材料ではないか。2024年4月には残業上限年960時間の罰則付き規制も課される。自動車運送事業の働き方改革の実現に向けた政府行動計画は88項目の施策を掲げ、運送サービスを安定的に確保できる環境整備の在り方も示された。運送業界は関係各者と協力し合い、職場の魅力もアップさせて、労働力確保につなげていくことが大切になる。
 ――おととし標準貨物自動車運送約款が改正された。
 坪井 運賃と別建てで付帯業務の料金を収受できることを、利害関係者に浸透させていくことに尽きる。運送会社の新約款適用を促すため、中部運輸局は荷主企業や経済団体に対し、頻繁に説明会を開催してきた。

改正事業法が果たす役割大

 ――昨年末には改正貨物自動車運送事業法が成立。
 坪井 物流の変革期を象徴する出来事だろう。運送会社が順守すべき事項の明確化が盛り込まれた一方、荷主対策の深度化や標準的な運賃の告示制度の導入も項目に挙がっているからだ。
 ――トヨタ自動車がホワイト物流推進運動への参画を表明した。
 坪井 トヨタグループからも複数の企業が参画を表明している。大変ありがたい。こうした企業が増えれば物流業界に対する理解もさらに深まる。
 ――防災対策も着々と進む。
 坪井 13年に「災害ロジスティクス中部広域連絡会議」を立ち上げ、行政やトラック協会、倉庫協会などの関係者で議論を重ねてきた。結果、管内5県(愛知・静岡・岐阜、三重、福井)と物流団体による協力協定が締結された。南海トラフ地震への対応を含め、地域にマッチした緊急支援物資輸送体制の確立に向けても取り組んでいく。