インタビュー

【 社長インタビュー 】
「和の精神」を大切に 働く人を〝主役〟と捉え

2019年04月02日
カンダホールディングス 原島 藤寿社長
1日付で就任した、カンダホールディングス(本社・東京)の原島藤寿社長。新しい3カ年の中期経営計画のスタートと同時に、勝又一俊前社長(現・取締役相談役)からグループ経営のバトンを受け継いだ。原島社長は「働く人を主役と捉え、魅力のあるカンダグループにしていきたい」と語る。
――抱負を。
原島 創業以来、11代目の社長となる。企業理念である「和の精神」を大切にする経営を行っていきたい。企業を長く存続させるには、従業員からも顧客からも信用されることが第一。グループ全体にガバナンス(企業統治)を利かせながら、労働時間規制対応をはじめとするコンプライアンス(法令順守)を徹底。交通事故・労働災害撲滅への取り組み、人材育成にも注力していく。
女性が活躍できる企業体に
――労働時間規制対応とともに、労働力確保が重要課題。
原島 グループには2000人以上の正社員をはじめ、パートタイマーなど多くの従業員がいる。物流業は人が支える。持続的成長を目指すには、人が定着し、人を新たに呼び込める会社にしていかなければならない。
――働く人を大切に。
原島 グループを1冊の本に例えれば、ホールディングスは表紙。中身を構成するのは各事業会社で働く従業員だ。彼・彼女たちを主役と捉えることが、グループの中身を充実させるためには欠かせない。
――事業所内保育所の開設、社員寮の建て替えなど、働きやすい職場づくりを推進。
原島 福利厚生の充実には今後も力を入れる。3月には本社機能を、低炭素化と快適な就業環境を追求した、都内千代田区の新社屋に移転。グループが大きく変わっていく契機にしたい。制服も働きやすさを考慮したものに刷新。今夏から本格的に導入していく。
――女性採用にも力。
原島 今期入社の新卒社員は女性を多く採用した。女性が活躍できる職場づくりは会社の魅力につながる。働き方の多様化を図りながら、女性の管理職も増やしていきたい。
――グループ経営はどのように進める。
原島 今期からの中期経営計画は5~10年後を考え策定した。各事業会社が個性を生かし、将来性のある分野にも挑戦しながら、大きく成長してもらうことが大切。医療・薬品といった成長分野以外でもカンダの特色が出せる分野があれば力を注ぎたい。グループ内の事務処理効率化を目指す体制づくりや電子化、AI(人工知能)など新技術の活用も検討していく。
足場固めへ利益確保を重視
――連結売上高500億円が将来の目標。
原島 足場を固めるための利益を着実に確保していくために売り上げを拡大させる方針を重視したい。採算性を見極めながら新規業務を獲得し、採算の悪い仕事については見直しをかけ、より拡大できる分野に力を振り向けていくことが大事だ。
――ネットワークの強化も重要に。
原島 新たなノウハウを得るためにも、M&A(企業の合併・買収)を積極化したい。全国規模のネットワークを築くには、従来の提携関係を生かしつつ、地場に強い企業など新規の提携先を探し、協業していくことも必要になる。
――国際部門も成長軸。
原島 日本の人口が減少する一方、全世界の人口は増加傾向にある。越境EC(電子商取引)サービスを含め、海外に目を向けた事業展開に拍車を掛けたい。まずは現地法人のあるタイ、インドネシアの事業を安定化させた上で、他のアセアン地域への進出も考えていきたい。
記者席 笑顔あふれるグループに
昨年5月、勝又前社長からバトンを受けることが決まった。大学時代は情報通信工学を専攻。カンダに入社するまで勤めた印刷会社では営業を担当したことも。「その経験がいまの糧になっている」
笑顔が印象的。「明るく元気に」「笑う門には福来たる」がモットーだ。「物流業はサービス業。元気なあいさつと笑顔が不可欠。にこやかな会社にこそ顧客も人材も集まる」。
ESG(環境・社会・ガバナンス)経営を推進するカンダグループ。従業員が小集団を構成し現場改善に取り組む「ダッシュ活動」は会社の顔とも言える特色の一つ。「現場で働く一人一人が経営意識を持つことが企業を成長させる」
最近は、休日に小学生の息子さんのリクエストに応え、電車に乗って小旅行へ。家族に手料理を振る舞うなど、奥さん思いの一面もある。