インタビュー

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【 社長インタビュー 】

EVの唯一の専門家に 年内に最新中型車を発売

2018年07月24日

三菱ふそうトラック・バス ハートムット・シック 社長

 13日に開催した記者懇談会で、三菱ふそうトラック・バス(本社・川崎市)のハートムット・シック新社長は「電気自動車(=EV)でユーザーにとって唯一の専門家になっていく」と語り、世界初の小型電気トラック量産化を実現したメーカーとしての意気込みを示した。最新の排ガス規制に対応した中型車については、年内に市場投入する方針。

 ――昨年、eキャンターを量産開始。宅配やコンビニ配送といった都市内配送で使われている。
 シック 各車の1日平均走行距離は80km。十分なレベルを実現している。次世代モデルは平成32年の市場投入を計画している。
 ――先駆者としての強い思いがある。
 シック ダイムラーグループ全体のノウハウを生かした提案ができる。例えば賢い充電方法。夜間に多くのユーザーが充電すれば電気代が高くなってしまう。ユーザーにとって、三菱ふそうが電気自動車の唯一の専門家になっていく。
 ――大型でも電気トラックを考えている。
 シック 7月に新しい組織が始動した。関連分野の全ての専門家が日本に集まり、調査・研究をスタートした。ディーゼルと電気の中間システムのハイブリッドはシステムにかかるコストが高いため、電気トラックへ直行する。
 ――自動運転について。
 シック 日本では来年末にレベル2の車を供給する。レベル2とレベル3は安全性がポイント。燃費・経済性がポイントとなるのはレベル4。レベル3とレベル4は似通っていることから、レベル3はスキップし、ユーザーがメリットを享受できるレベル4に向かう。競合他社よりも先んじて商品を投入する。

使われ方をもっと話し合い

 ――当面は、限定された使い方になる。
 シック 自動運転は、ユーザーの土地や空港など公道ではない限定エリアでの使用を想定している。技術面だけでなく、どういったニーズがあり、どのようなビジネスモデルで使われるのかといったことをユーザーともっと話をして、一緒に新たなビジネスを確立していく必要がある。
 ――昨年発売した新型スーパーグレートは好評を得ているが、中型の最新モデル発売はいつか。
 シック 年内に、4気筒エンジンを搭載した中型トラックを市場に投入する。市場シェアをさらに高めていきたい。
 ――販売拡大に向けた取り組みは。
 シック 販売スタッフについては、人員は十分にそろっている。重要なのは運用の改善。IT(情報技術)システムの導入を進めることで、効率がアップし円滑な業務運用が可能になる。
 ――プライベートについて。日本の印象は。
 シック 娘は29歳、息子は28歳で独におり、日本には妻と住んでいる。ゴールデンウイークには京都を旅行した。初めて日本に来たのは平成5年で、その時から日本食が好き。独の自宅のキッチンには、鉄板焼きのようなスタイルのプレートを持っている。週末には料理を楽しみ、ラーメン作りを学びたいと思っている。日本に来た息子と富士山に御殿場ルートから登った。富士山は本当に特別な存在だ。