インタビュー

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【 インタビュー 】

事業拡大へ 積極展開 グループの「強み」軸に

2018年06月26日

センコー 髙梨 利雄 副社長

 新中期経営計画で、平成34年3月期の海外事業売上高700億円を掲げるセンコーグループホールディングス(本社・東京、福田泰久社長)。アセアンを中心に拠点拡充や現地企業との連携、M&A(企業の合併・買収)など体制構築を進める。センコーの髙梨利雄代表取締役副社長はさらなる進出を見据えつつ、「各国拠点を結んで面を広げ、事業を拡大したい」とする。

 ――海外事業の現状は。
 髙梨 平成30年3月期の連結売上高は4921億円で、このうち海外事業は5%ほど。海外事業比率は毎年伸びているが、まだ出遅れている感もある。各国の拠点同士を結んで面を広げないと事業は拡大しない。現地パートナー企業との取り組み、M&Aなどを強化し、成長の中心を日本から海外に移していく。
 ――近年、特に注力するエリアは。
 髙梨 成長の期待できるアセアンに注力している。タイを中心にベトナム、ミャンマーなどで域内物流、輸出入関連業務などを展開。強みを生かすことで、中期計画で掲げる売上高700億円のうち、2割以上をアセアンで稼げるよう取り組みたい。
 ――例えば。
 髙梨 食品物流では、グループ会社のランテックが海外でも強みとなる。タイでは外食大手のMKレストランと冷凍・冷蔵物流を手掛ける合弁会社を設立。来年開設する3温度帯センターは合弁相手の業務に加え、外販も展開する。ミャンマーでも3温度帯センターを拡大する計画で、4月稼働のベトナム新倉庫も需要に応じ、冷凍・冷蔵機能を整備することが考えられる。
 ――食品以外でも強みを生かす。
 髙梨 アパレル生産拠点がアセアンに移る中、ファッション物流ではグループ会社の東京納品代行などと連携しつつ、日本や中国まで一気通貫する仕組みを強化する。(小売り・百貨店などの)チェーンストア物流も現地調達が進んでおり、まだ取り組みの余地がある。

M&Aを通じ物流網を拡充

 ――M&Aによる海外物流ネットワークの拡充も進める。
 髙梨 昨年、航空・海上輸送業務を営むシンガポールのスカイリフト社をグループ化した。今回のM&Aを機に、欧州をはじめとする物流ネットワークの拡充、営業基盤の強化を図りたい。
 ――具体的には。
 髙梨 スカイリフト社は国際航空運送協会(=IATA)の公認代理店で、アジア、欧米と幅広く国際航空事業の拠点を保有。特に欧州―アセアンのネットワークが強く、同社の顧客には日本とつながりのある欧州の優良企業もある。今後は当社の考え方や物流品質を組み入れながら、欧州―日本間の取引も拡大し、3国間物流を強化していく。
 ――新たな地域進出も見据える。
 髙梨 中国、アセアン、北米、豪州などで事業展開しているが、成長にはさらなるネットワーク拡充が必要。欧州に加え、アジアではインドネシア、インドへの進出を検討していく。各拠点を結び、3国間ビジネスを伸ばさなければ業績の拡大は難しくなる。
 ――顧客需要の先読みも必要に。
 髙梨 顧客が何に困っているのかを考え、提案する力が重要だ。単にモノを動かすだけではなく、顧客に肉薄しないと競争力は生まれない。当社の国際物流事業本部と国内営業部との連携も強化していく。
 ――現地人材の育成はどう進める。
 髙梨 当社は研修教育施設「クレフィール湖東」で充実した教育ができる強みがある。指導員が現地社員を教育したり、ここで研修を受けた海外人材が現地で活躍してもらったりしている。今後は経営の現地化をさらに進めていく。