インタビュー

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【 インタビュー 】

優位性生かし再開発 特積みと歩みを共に 

2017年06月27日

日本自動車ターミナル 尾沢 克之 代表取締役専務

 都内4つのトラックターミナル(=TT)再開発を推進する日本自動車ターミナル(本社・東京)。今年、再開発の方向性を示す大都市物流戦略「メトロポリタン・ロジスティクス」を提唱した。京浜TTの高機能型物流施設「ダイナベース」をはじめ今後の計画について尾沢克之代表取締役専務に聞いた。

 ――首都圏物流の環境変化をどう見る。
 尾沢 人口減と少子高齢化、物流業の労働力不足といった課題がある一方、世界最大の人口を誇る東京都市圏では五輪開催を控え、陸・海・空のインフラ整備や大規模な都心部再開発が加速。3PLやEC(電子商取引)市場も拡大基調にある。
 ――施設需要も活発化。
 尾沢 3PL市場が年4%、通販需要が年10%拡大し続ければ、2025年の大規模物流施設需要は2015年比約1.6倍になると推計。大型化、高機能・多機能化、災害対応といったニーズへの対応が重要になる。
 ――再開発の方向性を示す「メトロポリタン・ロジスティクス」を提唱。
 尾沢 都心から至近の立地条件など優位性を生かし、物流ニーズ変化に適応した大型配送センター建設をはじめとするTTの高機能化、生産性向上を推進し首都圏物流の発展に寄与するという思いを込めたコンセプトだ。

板橋は全面的に建て替えを

 ――優位性とは。
 尾沢 大消費地に近く高効率な業務展開が可能。共同輸配送実現や特積み、鉄道、港、空港との連携に有利で、労働力確保にも優れた立地にある。災害に強く24時間365日稼働できるのも大きい。
 ――京浜TTでは「ダイナベース」を建設中。
 尾沢 来年7月の完成、8月の供用開始を目指している。今後も需要動向により新規物流施設の建設計画を検討したい。
 ――他のTTでは。
 尾沢 板橋は地下に配送センターがある構造上、全面的に再開発を進めていくことになる。東京五輪後に着工する見込みで、1階にバース、上層階に配送センターを備えた施設への建て替えを想定。足立は中長期計画に基づく修繕を継続して行う。
 ――葛西は。
 尾沢 オーダーメード型施設を中心とした建設を推進。現在8.9号棟がある土地を活用し、顧客の要望に合わせた延べ床面積3万6000?6万6000㎡超規模の施設を計画している。
 ――顧客も多様化。
 尾沢 特積み以外の企業の利用も促していくが、やはり特積み機能を基盤に付加価値の高い物流施設を提供していくことが理想。特積み業界の先達が首都圏の物流効率化へTTの整備に尽力した歴史もある。今後も特積み各社と歩みを共にし、安全・安心で災害に強く、働く人や環境に優しいTTづくりで満足してもらえるよう取り組みたい。

(略歴)
 おざわ・かつゆき=昭和30年4月19日生まれ、東京都出身。東大法卒。54年運輸省(現・国土交通省)入省、政策統括官付政策調整官物流担当、北海道運輸局長、国土交通政策研究所副所長などを歴任し、平成25年損保ジャパン日本興亜リスクマネジメント顧問、27年日本自動車ターミナル代表取締役専務。(水谷 周平)