インタビュー

【 社長インタビュー 】
新生UDの〝目指す姿〟 選ばれるブランドへ 商品に自信、稼働支援さらに

2015年01月06日
UDトラックス 村上 吉弘 社長
1日付で村上吉弘国内販売事業最高責任者が社長に就任したUDトラックス(本社・埼玉県上尾市)。ボルボ・グループとの組織統合・構造改革にめどをつけ、今後はより一層、販売・アフターサービスに力を入れる。ユーザーにとってどのような存在になるのか。村上新社長にUDが目指す姿を聞いた。
――就任に当たっての思いを。
村上 国内販売を担当して以来言い続けてきた「ユーザーからビジネスパートナーとして選ばれる企業・ブランドになること」を全社目標に、開発・生産・販売・サービスに取り組んでいく。
――あらためてUDの強みとは。
村上 大型車「クオン」については、圧倒的な操作性の良さ。安全性にも優れ、燃費も他社と同等以上の性能を持つ。AMT(機械式自動変速機)「ESCOT‐Ⅴ」は、1度乗ってもらえれば違いを実感できるはず。販売・サービス網の面では、ユーザーの稼働を止めないためのサポートが大事。スタッフの教育も設備投資も継続させる。
――軽油価格は下落傾向だが、依然として高い。
村上 燃費に関しては従来車比10%アップの目標を掲げている。昨年発売の新型クオンでは4~5%アップを達成。まだまだ改善していく。
――この先、選ばれるために必要なこと。
村上 ドライバー不足が業界の課題。荷主や事業者から選ばれるのはもちろん、ドライバーからもトラックに乗りたいと思われる商品・ネットワークでないといけない。操作・安全性に優れた商品を造る一方、販売網では修理時間の短縮などを通じ、稼働時間を最大化していく必要がある。
テレマ活用の整備強化検討
――テレマティクス(車載通信システム)は予防整備にも活用できる。
村上 テレマの「UDインフォメーションサービス」は「故障が起こりそう」というデータも、完全ではないが収集できる。ただし、そうしたデータを使ってどのようにユーザーを支援するかの仕組みが構築できていない。実現に向け前向きに検討している。
――生産については、エンジン部品を造る鴻巣工場を売却。国内は上尾と羽生の2拠点体制に。
村上 国内工場では、国内市場向けやオーストラリア、シンガポールといった先進国向けの車を生産。昨年稼働したタイ工場では、タイやインドなど新興国向け「クエスター」を生産していく。クエスターの台数は飛躍的に伸びていくだろう。
――市場にかなった生産・供給体制を敷く。
村上 国内でも他社と同様、海外部品を多く採用しているが、ボルボ・グループの高度な技術・基準を採用。最終工程では日本人スタッフが日本の市場に最適な商品に造り上げている。逆に海外でも、日本からインドに駐在員を送り指導に当たらせたりしている。
スタッフ教育の充実さらに
――ユーザーにとって今後UDはどのような存在でありたいか。
村上 ファンには「やっぱりUDで良かった」と言われるように。いま乗っていないユーザーやシェアの高くない大手ユーザーには「商品も、販売・サポートも良いし、何よりスタッフが良い」と言ってもらえるようにしたい。2年ほど前から教育にも時間と費用をかけて取り組んでいる。さらに充実させていく。
――商品を訴求するための活動を今年も展開。
村上 引き続き、ユーザーに近い所で試乗会などのプロモーションを展開していく。また、建設中の上尾本社が6月にしゅん工するのに伴い、工場内にある「UDエクスペリエンスセンター」でユーザーを迎えての試乗会を計画している。
記者席 真面目そのもの
語り口は決して雄弁な方ではない。記者の質問には要点を絞り、簡潔に答える。醸し出す雰囲気は真面目そのもので、計画、予算、進ちょく確認などさまざまな事柄に1つ1つ細かく目を行き届かせる。
営業面では「ビジネスパートナーとしてより身近な存在に」。優れた車とサービスで稼働を最大限サポートしユーザーのビジネス成功を支えることで、WIN―WINの関係を構築する。そのために品質は無論、営業マンをはじめフロントマン、メカニックらサービススタッフの人間的魅力が大切だと話す。
国内販売目標は大型車でシェア25%。新型車は「自信作」。後は、ユーザーの評価と信頼をどれだけ高められるか。手腕が注目される。
(略歴)
村上 吉弘氏(むらかみ・よしひろ) 昭和38年11月1日生まれ、51歳。兵庫県出身。平成3年米ペンシルベニア大経営学部大学院(MBA)卒。フォード自動車などを経て、20年日産ディーゼル工業(現・UDトラックス)顧問、24年シニアバイスプレジデント国内販売事業最高責任者、27年1月1日社長就任。(矢田 健一郎)