インタビュー

【 インタビュー 】
生産性革命、前進の年に 自動運転実現も加速

2017年01月03日
石井 啓一 国土交通大臣
国土交通省の石井啓一大臣は本紙らのインタビューで、今年注力する施策の一つに生産性革命を挙げ、「物流は生産性革命の宝庫。効率化できる分野がたくさんある」と語った。自動運転などの新技術も活用し、業務効率改善と付加価値向上を進める。
――運輸行政の抱負を。
石井 昨年は長野県軽井沢町でスキーツアーバス事故が起こるなど、痛ましい出来事があった。まずは公共交通の安全・安心に全力で取り組む。また運輸業では人材不足が深刻だ。担い手の確保育成にも注力していく。
――昨年、生産性革命の取り組みが始まった。
石井 生産性を高めれば持続的な経済成長とともに、長時間労働改善といった職場の魅力アップにもつながる。物流は生産性革命の宝庫。さまざまなプロジェクトを具体化し、今年を〝生産性革命前進〟の年としたい。
――物流の課題を解消。
石井 労働力不足の背景には3K(きつい・汚い・危険)をはじめ厳しい勤務条件がある。トラックは積載率の低下、手待ち時間、再配達など効率化しなければならない課題がある。非効率を解消し、業務効率改善と付加価値向上につなげる。
来年には公道で隊列走行を
――自動運転の実現にも動き出した。
石井 昨年発足した自動運転戦略本部で、国際的な技術基準の策定、事故発生時の保険の在り方などを議論する。近い将来、物流に自動運転を活用できれば、労働力不足の解消、長時間勤務の削減といった効果が期待できる。今夏までに、国交省として重点的に取り組む施策をまとめたい。
――今後どんな取り組みは。
石井 中山間地域で高齢者の生活の足、物流確保のため、道の駅を起点とした自動運転サービスの実証実験を始める。トラックについては、まずテストコースでの隊列走行に着手。平成30年には公道実験を行いたい。
(経歴)
いしい・けいいち=昭和33年3月23日生まれ、58歳。東京都出身。56年東大工卒、建設省(現・国土交通省)入省、平成5年衆院初当選、公明党政務調査会長などを経て、27年10月国土交通大臣就任。衆院北関東比例区、8回当選。(小林 孝博)