インタビュー

【 この人 】
きめ細かさを磨く

2016年11月29日
森本倉庫 森本 真弥 社長
創業明治3年の老舗企業の社長を昨年12月に父の森本啓久氏から引き継ぎ、1年がたつ。「大きな出来事が重なった」と振り返る。
阪神・淡路大震災で取り壊しを余儀なくされた三宮ビルディング北館(神戸市)が20年の時を経て昨年11月にしゅん工。平成25年の入社時から建設に携わり、披露パーティーを取り仕切った。「震災復興が完了した」。直後の28年1月、啓久氏は見届けたかのように他界した。
幼少の頃からいずれ社業を継ぐ自覚はあった。大学では経営学を専攻。卒業後、祖父や父と同じく住友倉庫に入社。輸入貨物の荷さばき、国内外の営業といった現場経験を積んだ。
「経営の根幹は変わらない」と、神戸で倉庫とビルを営む事業にまい進する。倉庫管理システムをいち早く導入、定温・冷蔵機能を備えた高付加価値の提供、迅速な情報提供など「きめ細かな心配りが当社の強み」。顧客へのあいさつ回りで厚い信頼を実感した1年だった。
社員の平均年齢約41歳。今後は若手社員の底上げを図り、利益体質を追求する。そこで全社員には1年当たり8件の「改善」の提出を求めている。「顧客への提案から日頃のちょっとした業務まで全てが対象。気付くことが大切」
3~5年後を見据えて盤石な足固めを着実に行うと同時に、「次の大きなビジョンを描けるステージに向けた準備をしたい」。
父から教わった「何事も経験」を胸に深く刻む。県倉庫協会、倉庫業青年経営者協議会、地元財界の会合に出席する中で「最年少」に臆することなく2年目を迎える。
(略歴)
もりもと・しんや=昭和61年4月8日生まれ、30歳。兵庫県出身。平成21年甲南大経営卒、住友倉庫入社、25年4月森本倉庫入社、6月常務、26年代表取締役常務、27年12月社長。(遠藤 仁志)