インタビュー

【 この人 】
新しい視点を重視

2016年08月30日
中京倉庫 朝倉 壽美子 社長
今年1月、夫の朝倉邦造社長が急逝。昭和23年設立の名門倉庫会社のトップを引き継いだ。
同社最大規模の倉庫を昨年11月に完成させ間もない中での就任。名前「くにぞう」から取って命名した「LC(ロジスティクスカンパニー)923計画」が動き始めたばかり。飛躍への熱い思いを遺志として継いだ。
学術書出版会社の老舗朝倉書店の会長も兼務。東京から名古屋市の中京倉庫本社に毎週通う。20年以上、経営に携わり課題や問題点の克服に知恵を絞った。冷静に現状を分析する眼力も養ってきた。「物流業としての基盤はきっちりできている。変化の激しさは取り巻く環境から肌で感じ取ってきた。鍛えられた現場力と新しい視点によるサービスで信頼に応えたい」
にこやかにきびきびと語る表情は元気そのもの。40年以上、医者の世話を受けたことがないのもうなずける。
実父が設立に参画。「仕事はいつも命懸け」。そんな父親の気概も受け継ぐ。「情熱を持つのは当たり前。尋常ならぬ執念とスピードで任に当たりたい。壁にぶつかれば、上から下からいろんな角度から挑戦する。その繰り返しで道ができる」
脈々と後進に伝えられてきた現場作業の匠(たくみ)の技が誇り。規律を大切にする社風が「荷主への貢献力」を育んだ。高水準品質を継続させるため、社員の業務引き継ぎに半年をかける。「どこにも負けない現場づくり」を担う社員たちの努力をたたえる。
胸に刻む言葉は「運命は性格の中にある」「為(な)せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の成さぬなりけり」。
「動かなければ衰退しかない。聞く耳を大事にしながら、社員と一体となって成長の道を切り開く」。力強い意志でスタートを切った。
(略歴)
あさくら・すみこ=昭和14年6月27日生まれ、77歳。東京都出身。39年聖心女子大大学院卒、国文学修士号取得。平成7年6月中京倉庫取締役、21年6月代表取締役副社長を経て、28年2月社長に就任。(谷 篤)