インタビュー

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【 社長インタビュー 】

「企業風土」こそ力 パートナーと連携深め

2016年08月23日

トランコム 恒川 穣社長

4月1日、トランコム(本社・名古屋市)の代表取締役社長執行役員COOに恒川穣取締役兼常務執行役員が就任した。パートナーである輸送事業者との協力体制をさらに強めながら、社員たちとのコミュニケーションと人材育成を重視する経営を標ぼう。大切にしてきた「ひたむきに一生懸命努力を重ねる」の言葉を胸に刻み、自然体の姿勢で指揮を執る。

――昭和34年設立で前身のナゴヤトランスポートセンターから数え4人目のトップに就いた。
恒川 入社し10年に満たず、事業部門に携わった経験はなく、要請された時は戸惑った。肩に力を入れず自然体でやっていく気持ちで引き受けた。他の役員や社員とのち密なコミュニケーションを保ちながら、全体を束ねていきたい。

優秀かつ強い会社を目標に

――物流情報サービス事業などで連携する輸送企業への訪問も重ねている。
恒川 事業推進のパートナーを担ってもらっている事業者は、当社にとって不可欠の存在。きずなを継続させ発展させることが重要な成長戦略。
――抱負を聞きたい。
恒川 トランコムグループの目標は「優れていて、なおかつ強い会社になること」。課題を一つずつ克服し築き上げてきた力で努力を続ける会社でありたい。みんなの誠実な取り組みを発揮させる環境をつくっていく。
――座右の銘としてきた「至誠」にも通じる。
恒川 地道に精いっぱい努力を積み重ねていく姿勢こそが将来の良い結果につながる、と信じている。前を向いて進んでいきたい。
――トランコムの歩みも同じでは。
恒川 主体性を大事にして、現場や責任者に判断を任せる価値観が根付いている。こだわりを持って自主的に、誠意ある姿勢でやり切る。その努力の繰り返しで会社は強く伸びてきた。
――人材育成を重要課題に掲げた。
恒川 当社にはアセット型センターはあまりなく、主要な資産は人材だけ。社員たちが育っていかないと会社の将来は切り開けない。これまで同様、責任を持って任せる。その方が、厳しさに直面しながらも懸命にやる。当社のDNAとしていまに受け継がれてきている。
――若い社員たちに企業風土を継承させていく。
恒川 来春、新卒者をこれまでの倍の50人は採用したい。まっさらで柔軟な頭脳を持つ新卒者に、主体的に考え自主的に動く価値観を共有させたい。女性にも期待は大きい。新卒者の5割から7割を女性で占めた年もある。業務を十分こなしていける意欲と元気さを備えている。メキメキと頭角を現し、センター長で頑張っている女性もいる。

新卒採用者を来年度倍増に

――企業価値を高める方法として、M&A(企業の合併・吸収)を展開してきた。
恒川 足りない機能をどう補完していくかが、M&Aの考え方。売り上げを大きく伸ばすためにやっているのではない。営業エリアも加味して考えていきたい。
――新事業の柱に位置付ける生産業務請負の「インダストリアルサポート」をどう育てる。
恒川 ニーズは間違いなくあり、市場性も増す。強い事業として成長できれば他の事業とのシナジー(相乗)効果も生まれる。売り上げは結果としてついてくる。じっくりと育てていきたい。
――昨年度から中期5カ年計画をスタート。
恒川 足元をしっかりと固めつつ将来にわたり成長を遂げていくため、何をすべきか。中長期を見渡して、総合的視点で今後を考えていく。培ってきたトランコムらしさを守りながら、顧客に本当の価値を提供し続けていけるよう全従業員7000人と共にまい進したい。

 

記者席 力の源は「愛妻料理便」

東京から単身赴任で名古屋住まいに変わり8年がたつ。生活にはすっかり慣れたものの、蒸し暑い夏場の独特の気候はいまだなじめない。食事にも気を使う季節だが、夏に限らずバランスの取れた料理メニューで夫人の気遣いを受けてきた。
毎週1回、夫人からの気持ちのこもった多種多様な手料理パックが宅配で送られてくる。毎日小分けし昼食時にも愛妻料理を味わう。お任せ料理が活力の源だ。
「自分で作ることはほぼ皆無。包丁もうまく使えない」。今夏、冷やし中華作りに挑戦。キュウリがきれいに切れなかったという。改めて夫人に感謝の思いを抱いた。
自宅での食事を終えた後は、読書タイム。散歩で気分転換するのも楽しみの1つ。タバコは名古屋へ移ってからピタリとやめた。

(略歴)
つねかわ・ゆたか=昭和36年4月29日生まれ、55歳。北海道出身。61年中大法卒、電材関連企業勤務を経て、平成20年トランコム入社、21年執行役員経営企画グループマネージャー兼総務人事グループ担当、23年取締役兼執行役員管理部門担当、24年取締役兼常務執行役員、28年4月1日代表取締役社長執行役員COO(最高執行責任者)に就任。(谷 篤)