インタビュー

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【 社長インタビュー 】

6年後売上1000億円へ オンリーワン企業に

2016年08月09日

ランテック 山中 一裕 社長

冷凍冷蔵の小口混載「フレッシュ便」に強みを持つランテック(本社・福岡市)。4月、山中一裕社長は就任早々、6年後売上高1000億円の目標を掲げた。拠点や直営戦力の増強、情報システムの見直しに取り組む。ボトムアップ型の経営で社員の声を吸い上げ施策に反映。親会社センコーのノウハウも生かし、さらなる成長を目指す。

――社長就任から4カ月。率直な感想を。
山中 一番の印象は礼儀正しさ、声の大きさ、節目節目のあいさつ。顧客の評判は非常に良い。ランテックは人材を「人財」と書く。なるほどと思った。
――看板商品はフレッシュ便。
山中 売上高の半分を占める。その品質と仕組みのレベルは高い。貴重な財産であり、社員の努力にも頭が下がる。この武器を生かし、会社をさらに成長させたい。少子高齢化社会にあって冷蔵冷凍市場は伸びしろがある。日本の冷凍食品の消費量は米国の3割、英国の4割ほどしかない。
――目標は。
山中 社長に就任後、6年後売上高1000億円の目標を掲げた。現状からほぼ倍増になる。冷凍冷蔵の小口分野でオンリーワン企業になるのが私の使命だと思っている。
――今期の売上高は。
山中 前期比5.1%増の467億6000万円を見込む。前期は同5.6%増の444億7000万円だった。目標からすれば物足りない数字だが、準備は進めている。

東名阪軸に拠点を積極展開

――具体的な施策は。
山中 まず拠点を積極的に増強する。再来年春、大阪南港で敷地面積1万5000㎡、4層構造で延べ床面積2万3000㎡の大型センターを開設する。東名阪を軸に新設候補地を精査中だ。広島の新設、福岡の施設拡張も具体化しつつある。
――運営手法は。
山中 輸配送から保管・庫内流通加工まで一貫型のセンター運営を行い、高度化する顧客ニーズに応える。3PL型の運営は親会社センコーとのシナジー(相乗)効果が見込める。常温とセットにすれば提案力も増す。事業領域が海外に広がり、社員のモチベーションも高まっている。
――目標に間に合うか。
山中 冷凍冷蔵倉庫は完成まで2年はかかる。であれば低い稼働率でも営業案件があるなら一定期間倉庫を借りた方がいい。先行投資になるが顧客を囲い込める。フレッシュ便はそれだけの商品力がある。M&A(企業の合併・買収)も視野に入れる。直営戦力の比率を高めて品質を上げ、ファンを増やしていく。あらゆる手を尽くす。

ボトムアップ意見吸い上げ

――組織は。
山中 地区担当への権限移譲と社員の声を吸い上げるトップヒヤリングを導入した。成果は出ている。働きやすい職場づくりでは、パレット化による作業改善も進めている。今期中に従来より2枚多い18枚積み大型車を8台増やす。給与体系と評価制度も見直し、採用が増える好循環を生み出していく。
――情報システムは。
山中 整備する。受注から配車、請求までの流れをスムーズにする。フレッシュ便は多数の顧客が相手。請求先は4000社に上る。業務効率化が図られサービスレベルも向上する。簡単ではないが、力を入れて取り組む。
――鉄道利用が多い。
山中 冷凍冷蔵仕様の31フィートコンテナを140基ほど保有しているが、今期中に10基増やす。長距離ドライバー不足への対応、法令順守の徹底、温室効果ガス排出削減で鉄道利用の重要性は増している。ただ災害時などの輸送障害に備え、トラック輸送による調整弁も欠かせない。

 

記者席 たたき上げの明るさ

親会社センコーでは「現場回りばかりしていた」。大手量販のセンター立ち上げで責任者も経験。だからこそ「フレッシュ便は当初、収支的に相当厳しかったはず。強いリーダーシップがなければとてもできない」。
好きな言葉は米国政治家リンカーンの名言「Where there’s a will, there’s a way」。意志ある所に道は開けるの意だが、「英語がいい。精神一到何事か成らざらんでは堅苦しいし」とざっくばらん。
休肝日は日曜日。最近コツをつかんだ。「早めの風呂で汗をたくさん流せば冷やしたノンアルコール飲料でもうまい。ビールを飲まなくても済む」と笑う。
毎日体重を測って記録する。目標体重は66㎏。趣味は散歩。大濠(おおほり)公園から福岡城跡回りを40~50分。時間をかけて四季に咲く草花を見るのは「良い気分転換になる」。

(略歴)
やまなか・かずひろ=昭和24年11月1日生まれ、66歳。大阪府出身。47年立命館大産業社会学卒、センコー入社、平成21年常務執行役員、23年取締役、26年専務、27年11月ランテック副社長、28年4月社長就任。(丸山 隆彦)