インタビュー

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【 社長インタビュー 】

発想力高める教育を 「現場第一」に磨きかけ 

2016年07月26日

東部ネットワーク 若山 良孝 社長

 6月末、芦原一義前社長から営業一筋で歩んできた若山良孝新社長にバトンを引き継いだ東部ネットワーク(本社・横浜市)。教育体制の強化を通じて目指すのは「創意工夫して新たな発想を起こす社員の育成」(若山社長)だ。就任直後の思いを聞いた。

 ――もともとはメーカーに勤めていた。
 若山 どのメーカーにも物流は必要で、関わりはあった。東部ネットワークに入社し、まず百貨店配送、次に新潟営業所でタンクローリー業務に携わった。当時はある百貨店のお中元・お歳暮の神奈川県内配送を担い、県内に約40のデポを構えていた。石油輸送の需要も旺盛で収益性も高かった。
 ――やがて経営企画室長代理として本社へ。
 若山 変化の節目で何でもやった。平成16~17年ごろのことで、百貨店との取引が解消となった一方、新規事業としてびん容器輸送の元請けとなっていく時期。その関係で埼玉にある関係会社の社員と、車両を引き受け営業所を立ち上げたり、大阪で経営がひっ迫した運送会社の再建のために関西へも赴任した。協力会社との関係が広がり、100社を超えた。

新輸送Sの実行部隊を組成

 ――その後、営業開発部長に就任。
 若山 多方面に事業を拡大。薬品系の仕事や、商社系企業の請けた物流業務を手掛けたり、派生する輸送情報から新たな業務獲得につなげたり、当社から輸送をお願いしたりと関係を深めていった。びん容器輸送と清涼飲料水輸送がメーンになると同時に、いまの成長の基礎になる、飲料・酒類メーカー各社との取引の基礎を築いた時期でもあった。
 ――「新輸送システム」の仕組みを築いた。
 若山 協力会社との間で人とトラクターヘッドと荷物を提供し合い、季節による繁閑差に対応する合理化システムを具現化する実行部隊として最前線で活動した。
 ――芦原前社長から託されたことは。
 若山 一番は、これまで培ってきた営業手腕を変化に合わせ生かしてほしいということ。会社が次のステージへ向かっていくための鍵は人材。これまでは管理系なら管理する力というように、実務のスキルを主に求めてきた。その上で、これからは創意工夫して新たな発想を起こす社員を育てていきたい。
 ――若い人を育てる。
 若山 まずは今期、来期にかけての人材育成プランを立てる。社内・社外の研修に加え、異業種を含めたパートナー会社との人材交流も視野に入れる。

異業種交流や研修を活発に

 ――社内研修の内容を刷新していく。
 若山 四半期ごとに、成功事例を生んだ所長たちがスピーカーとなって体験を語ってもらう活動を管理者向けに実施しているが、これを若い世代にも広げる。私自身、メーカーの営業マン時代に先輩から「モノを売ってはいけない」と教わったことを覚えている。営業の仕事は「商品の使い方を工夫してこんなもの、あんなものができないか」など顧客の声を集め、次の商品開発につなげる窓口になることだ、と。
 ――会社の基本路線は継承しつつ、成長を促す提案力を高めていく。
 若山 顧客の庭先でも指差し呼称を徹底するといった安全・現場第一の路線をはじめ、他社との差別化を図る意味でも、さらに質を高め、分かりやすいものにしていく。また、革新的な物流提案を行う上ではテクノロジーの活用に加え、現場作業を熟知しているからこそ可能な提案がある。独自のノウハウを強みに、多彩な提案で顧客の物流を支援していく。

(略歴)
 わかやま・よしたか=昭和35年11月11日生まれ、55歳。東京都出身。平成6年東部ネットワーク入社、20年取締役兼執行役員営業統括部長、22年営業部営業開発部長、25年第1営業部門担当部長兼営業開発部長、27年常務兼常務執行役員、28年6月28日社長就任。(矢田 健一郎)