インタビュー

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【 社長インタビュー 】

中計売上目標2年前倒し 軸足は「利益体質の改善」

2014年10月28日

センコー 福田 泰久 社長

センコー(本社・大阪市)は、4カ年中期経営計画で掲げる平成29年3月期の売上高目標を2年前倒し。企業買収効果と拠点増強により、今期は計画の3800億円を上回る勢い。福田泰久社長は「(顧客への)提案メニューはそろった」と話す。軸足を利益体質の強化に置き、料金改定にも精力的に取り組む。海外展開、高齢化社会を見据えたBtoC参入、モノづくりなど多角化を進め、さらなる成長を目指す。

 

――10月に、ランテックがグループ入りした。
福田 冷凍冷蔵で全国輸配送網を持つ事業者のグループ入りは大きい。物流メニューがそろい、顧客への提案力も増した。ランテックが持つ庫腹は7万平方メートル弱だが、当社は現在、国内外で250万平方メートルを運営しており、この一部を冷蔵冷凍庫に改造するなど相乗効果を得る取り組みを進めていきたい。タイや中国での展開も考えている。
――今期の売上目標3800億円が射程圏内。
福田 昨年度下期から連結対象の商社アスト(年商450億円)の上期分と、コカ・コーラウエストロジスティクス(同70億円)の11カ月分、これにランテック(年商400億円)の下期分などが加わる。新センター稼働に伴う新規拡販もある。期初の目標はクリアできると考えている。

 

赤字洗い出し採算性を向上

 

――足元の荷動きは。
福田 4~6月は増税の影響で鈍かった。景気回復を期待した7~9月も天候不順などで回復せず、既存取引の物量は減少傾向。一方で、新規拡販は健闘している。
――4~6月期の利益は前期比1割減だった。
福田 傭(よう)車費アップの影響が大きい。庫内作業のパート代など人件費も上がっている。前期から赤字の部分を細分化して料金見直しを荷主に求めるなど、対策は打っている。
――例えば。
福田 長時間の運行や積み込みを強いる仕事など条件の悪い項目を洗い出し、荷主に内容の見直しを求めている。あとは値上げしかない。不採算の仕事は断らねばならない段階に来ており、いまは利益を重視した施策に取り組んでいる。
――買収による利益増も見込めるが。
福田 ランテックは冬季の取扱量が少ない。売り上げ・利益ともにやや上期に偏る傾向があるものの、下期での利益増は見込める。だが既存貨物の物量減やコスト増で相殺されることもあり得る。今後の景気動向次第で下期の経営は厳しいものになると考えている。
――車両確保で協力会社への支払いを増やす事業者もいるが。
福田 現在、自社車両は3500台。傭車数は6500台ぐらい。これを10年ほどで同じ比率に持っていく。自社車両と傭車数をそれぞれ8000台ぐらいまでにしたい。
――コスト増になる。
福田 優秀なドライバーの確保と育成を考えると、自社化の方が効率が良い。より長く働いてもらえる体制づくりためにも、利益体質への改善を行っていく。

 

海外進出加速モノづくりも

 

――事業の多角化を進めている。
福田 高齢化社会を見据え、BtoCにも入っていく。例えばホームセンターの大型消費財を購買者宅まで配送して据え付けまで行う。スーパーの食材を家庭に届けるサービスも始めている。介護関連事業への参入も検討していきたい。
――海外展開は。
福田 タイを起点に、ASEAN(東南アジア諸国連合)全体を陸路、海路の面展開で広げていく。陸路はカザフスタンやインド、海路ではインドネシアにも足掛かりを作りたい。いまはメキシコやベトナムに興味がある。傘下の商社丸藤やスマイルがベトナムで作った製品を日本や中国で販売している。

 

記者席 構想力と具体性

 

若手ドライバーの確保策について聞くと、「研修施設であるクレフィール湖東で大型免許を取得できるようにしたい」。海外展開では商社との連携話も絡ませ、モノづくり事業では「プライベートブランド(自主企画)を作りたい」。構想に具体性があり、つい話に引き込まれた。
顧客ニーズに敏感。今年度、ファッション物流営業本部を設置し、「商品のタグ付けや返品処理、返品後のプレス作業などきめ細かな物流サービスが顧客に喜ばれている」と手応えを語る。
趣味の囲碁は「アマチュア4段(昭和60年取得)だが、いまはプロいわく6段ぐらいあるらしい」。ゴルフは年間50回、コースを回る。ハンディキャップは17。

 
(丸山 隆彦)