インタビュー

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【 社長インタビュー 】

3年で成長基盤確立 業界上位の安全・品質を 

2016年01月26日

アサヒロジ 丸山 高見 社長

平成28年12月期から新しい中期経営計画をスタートするアサヒロジ(本社・東京、丸山高見社長)。32年12月期までに売上高1000億円突破を目指し、「いかに人を育て、組織を強くするかがテーマ」と丸山社長。安全・品質、現場力をさらに磨き上げ、加速度的な成長に向かうための基盤を3年間で確立させる。

前期、自社便を大幅に増強

――平成27年12月期の業績は。
丸山 アサヒグループ関連の業容拡大、外販堅調で増収増益。連結売上高は前期比約3.4%増の866億円超。営業利益も計画を上回った。
――グループ関連の深耕が進んだ。
丸山 輸送だけでなく、販売促進や流通加工など関連業務の取り扱いが増加した。提案力が着実に向上し、業容拡大だけでなく、取引条件の是正にもつながっている。
――利益も改善。
丸山 全部門がコスト縮減に工夫を凝らした結果だ。特に輸送部門では、スポットの傭車に頼らず、自社とレギュラーの協力会社で安定した輸送力を確保できたことが改善につながった。
――どのような施策を。
丸山 自社便を50台増車し、レギュラーの協力会社との連携を強くしたことが大きい。猛暑や年末などの繁忙期も例年になく円滑に乗り切ることができた。
――自車比率を引き続き高める。
丸山 現状売り上げ比で5%程度だが、今後3年間で10%ぐらいまで段階的に増やしていく。輸送力を強化するには、自社便増強に加え、帰り荷の創出や待機時間削減などに取り組みながら、協力会社と強いパートナーシップを築くことが鍵になる。
――人手不足対策も重要。
丸山 ドライバーを含めた人手不足は最大の脅威だ。鉄道モーダルシフトの推進に加え、ドライバーを日帰りさせる中継輸送についても研究・実証実験を進めたい。
――フォークリフトやトラックを大切に扱い、事故防止を図る「愛車運動」も利益改善に貢献。
丸山 26年秋の全社展開以降、フォークリフトの事故は年間約4割の削減効果が続いている。事故処理や商品破損の弁償に掛かるコストが激減するだけでなく、職場の活性化、生産性向上の効果を出している。結果、各現場の利益確保に貢献したわけだ。

日々進化する現場力強みに

――今期から新中期経営計画がスタート。
丸山 平成32年12月期の売上高目標1000億円突破を目指し、業界トップクラスの安全・品質、日々進化する現場力を強みとして、成長への基盤を確立する3年間にすることが計画の骨子だ。
――〝安全〟が中核に。
丸山 そうだ。安全なくして売上高拡大、利益確保はない。愛車運動を中心とした安全体系を構築し、海外でも通用し得る当社のブランドに仕立てていく。子会社エービーカーゴ東・西日本の安全・品質を磨き上げ、協力会社を巻き込んだ安全啓発の機会もさらに増やしたい。
――現場力も磨く。
丸山 現場力は経営戦略の根幹。現場力が育ち、常に進化する姿勢があれば、どんな環境変化にも対応できる。そのために必要な人材の確保・育成は惜しまない。人材育成に有効的な人事異動も積極的に行う。現場を支える情報システムも段階的に強化していく。
――営業面では。
丸山 アサヒグループの物流を支えながら、外販を開拓する姿勢をさらに強めたい。グループ関連と外販のシナジー(相乗)をいかに発揮するかが重要になるだろう。

 

記者席 かけがえなき企業風土

「仲間を大切にする企業風土を大事にしたい」。長年人事畑を歩んできた経験から、企業に根付くDNAへのアンテナが敏感に働く。「武器は弱くても、力を合わせてやり切ろうという気合いがある。一朝一夕ではできない、かけがえのない財産だ」
前中計では、安全を切り口に経営戦略を立てる方針を貫いた。結果、品質を高め、収益目標も達成。新中計でも「安全をとことん追求する」。「人を大事にする」からこそ、従業員を被害者にも加害者にもさせない職場づくりに心血を注ぐ。
富士宮支店で生まれた愛車運動は、いまや会社の代名詞。「メリットしか生まない。業界全体を明るくする取り組みだ」。現場発のアイデアを大切に育て、やがて業界にイノベーション(変革)を起こす。その道のりは遠くはない。

(略歴)
丸山 高見氏(まるやま・たかみ) 昭和28年9月3日生まれ、62歳。山梨県出身。52年早大法卒、アサヒビール入社。平成10年首都圏本部総務部長などを経て、17年人事部長、20年執行役員、23年常務兼常務執行役員経営企画本部長、25年アサヒロジ社長。(水谷 周平)