インタビュー

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【 社長インタビュー 】

「いまは第2の創業期」 〝企業は人なり〟で10年 

2015年12月22日

ロジネットジャパン 木村 輝美 社長

 札幌通運と中央通運の持ち株会社として平成17年に設立したロジネットジャパン(本社・札幌市)が10月3日で設立10年を迎えた。24年に傘下に収めた旧・青山本店(現・ロジネットジャパン西日本)も10月に黒字転換。全国ネットワーク確立も視野に入る。木村輝美社長は「いまは第2の創業期」と位置付け、来年度からの新中期3カ年計画で「一層の飛躍を」(木村社長)図る。

 ――設立10年を迎えた。
 木村 本州への事業拡大の手段としてM&A(企業の合併・買収)を行うため持ち株会社を設立した。傘下に事業会社を並列して置け、M&A後の組織統合がやりやすいと考えた。
 ――24年には、旧・青山本店を傘下に。
 木村 グループ第3の中核会社とするためだ。統合直後から諸問題で苦難の経営が続いたが、本年10月には単月黒字に転換した。

4月中部以西を一本化

 ――来年4月には札通の中部以西を事業分割しロジネットジャパン西日本に統合させる。
 木村 西日本でも積極的な事業展開を行える体制を整備する。中部地区では、約1万4000㎡の倉庫兼物流センターを愛知県小牧市で計画中。区域輸送などの拡販のほか長距離輸送のトレーラーヘッドのスイッチ拠点としての活用も可能だ。
 ――中継輸送か。
 木村 そうだ。もともと北海道と本州間の輸送を展開してきた札通はトレーラーや鉄道での長距離輸送が得意。ドライバー不足が顕著な長距離輸送も愛知に拠点を置けば東京、大阪の各拠点のドライバーが日帰りできる体制が整備できる。
 ――女性活用にも熱心。
 木村 30年前から始めている。管理職だけでなく現場でも中核を担う支店の長として活躍している人材もいる。本社近辺には保育園も設置している。他の事業所でも必要に応じ整備を進めたい。
 ――現場採用も積極化。
 木村 グループの成長戦略の中で通販物流などもターゲットだ。宅配など小口貨物が増えれば女性向きの仕事も増える。
 ――完全週休2日制も導入している。
 木村 27年4月から労務環境改善の一環として始めた。ドライバーの確保は生命線だ。〝企業は人なり〟の気持ちで取り組んでいる。
 ――人材不足は好機。
 木村 フェリーや鉄道輸送、トレーラー化など安定して長距離輸送を行える体制づくりを進めてきた。地方発の企業としてつくり上げた仕組みがいまの状況に合っている。日本でも屈指の輸送ネットワークを構築できたのではないか。

全国ネットの認知度も向上

 ――全国ネットワークの整備も進める。
 木村 11月には関東発九州着の事業が日本物流団体連合会のモーダルシフト大賞に選ばれた。全国ネットワークを持つ企業としての認知度が高まってきた。今後は九州への進出も視野に入れる。
 ――多角的な経営を心掛けてきた。
 木村 水事業「ゆきのみず」と旅行業「クラブゲッツ」は、物流と絡めて戦略を立ててきた。ゆきのみずは北海道発の荷物が少ない時期に輸送需要を創出するのも目的だ。
 ――販売も好調だ。
 木村 北海道大雪山ゆきのみずの商標で商品としてもおいしく安全というイメージが浸透しつつある。関東や海外にも販売を強化している。「クラブゲッツ」も、いまでは年間20億円超の売上規模の事業に成長した。
 ――今後の展望は。
 木村 中期3カ年計画を策定中だ。社員が夢を持てる会社にしたい。文化が地方から始まり中央で広がるように、地方発の仕組みが中央でも生きる。これからは第2の創業期。3カ年計画を持って飛躍したい。

記者席 夢を持てる会社に

 「従業員が夢を持てる会社に」と話す。「仕事のことを考えているときはウキウキする」とも。いま一番楽しいのは、会社の未来を考えている時だ。
 気持ちだけではない。実現に向け、体制整備を着々と進めてきた。幹線輸送の効率化、時短、労働環境整備、女性活用。従業員が働きやすい職場づくりをいままでも実行してきた。企業内保育園を他の物流企業に先駆けて設置したのも、女性従業員が多い同社ならでは。
 設立10年が過ぎ、次の10年を「飛躍の年にしたい」と中期経営計画を策定中だ。「楽しくて仕方ない」と何よりもまず木村社長自身が会社に夢を抱いている。
 地方発の企業文化を持って全国にネットワークを築く。夢は大きく、足取りは着実に。次の10年にどんな夢を紡ぐのか。

(略歴)
 木村 輝美氏(きむら・てるみ) 昭和18年11月30日生まれ、72歳。北海道出身。42年北海学園大経卒、37年札幌通運入社、平成7年取締役総務部長、11年常務、16年社長、17年ロジネットジャパン社長。(佐藤 周)