インタビュー

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【 この人 】

被災地復興へ物流維持を

2025年10月07日

石川県トラック協会 山田 秀一 会長

 6月、4期8年を務めた久安常信前会長からバトンを受け取った。「私は幸運な人間。周りの人にいつも支えてもらっている」と述べるが、胸中には会員や業界への強い思いを持つ。
 石川県では2024年1月に発生した能登半島地震の爪痕が残る中、今年8月の豪雨で被災地の一部仮設住宅では浸水被害が出るなど依然厳しい状況が続く。被災地の復興に向けて物流企業が担う役割は非常に大きく、安定した輸送を維持するためにも業界の変革へ向けた対応を急ぐ。
 6月のトラック適正化二法成立など、企業の事業継続への対策が求められる。事業許可更新制や適正原価の導入は、健全な競争につながるが、地方の中小企業には労務コスト増加など負担が大きい一面も。「業界としては非常に大きな一歩。不適格な企業は淘汰(とうた)されるが、地方では穴埋めの余力がなく輸送力確保が難しくなる恐れがあり、地域の実情に即した対応が必要」と考えを示した。
 能登半島地震で得た教訓を後世に伝える取り組みも行う。「災害時に最優先で行うべきは、災害物流専門家の配置」と強調。災害発生時の物資輸送は、情報の整理と指示系統の一本化が必須で、効率的な支援の土台となる。全国の協会からは、災害時の対応について助言を求める声が相次ぎ「災害時への意識が高まっている」と話す。広く経験を共有するため、現場で発生した課題や対策などを「緊急支援物資輸送等活動記録」として冊子に残した。
 趣味は登山。休日はアクティブに過ごし、年に1度、白山の登山を楽しむ。物流業界は課題が山積しているが、踏破を目指し歩を進める。