インタビュー

【 社長インタビュー 】
人財育成が最優先事項 事業領域の多様化を推進

2024年10月22日
大和物流
杉山 克博 社長
4月に前任の木下健治会長からバトンを受けた大和物流(本社・大阪市)の杉山克博社長。人財の育成を重視する姿勢を示し、「投資の軸足を物流センターから人へシフトさせる」と語る。収益基盤の安定化を目指し、事業分野の多様化を推し進める。主軸の建材を中心とした重量物に加え、半導体関連貨物やEC物流、館内物流といった新しい業務に積極的に挑戦する。
投資の軸足を「人」にシフト
―目標は。
杉山 会社が中長期的に発展し続けられる強固な基礎をつくりたい。社員の成果を認め成長を促し、将来の経営を担う人財を育てたい。
―日々、発見がある。
杉山 物流業界は未経験からのスタート。質問をしながら理解を深めている。さまざまな発見や学びがあり、仕事が充実している。大和ハウスでは長く建築営業に関わってきた。物流施設を手掛けたこともあるが、建設する立場から運営する立場になり、見方は大きく変わった。マテハンや荷物の配置によって庫内の使い方は当然ながら違ってくる。空間の使い方を強く意識するようになった。
―経営戦略は。
杉山 人財の育成に重点を置く必要がある。当社はこの数年、全国で拠点整備を進めてきた。顧客への提案内容の幅が広がり、収益性が高い案件を獲得できる流れが生まれた。輸送網の拡大は、ドライバーの残業上限規制の対応策にもなっている。増加したセンターの運営を担う管理職の育成が重要になっている。
―人の育成が、ネットワークを最大限生かすことにもつながる。
杉山 就任後、各地の現場を訪問し社員との交流を深めた。同時にどんな支援が必要なのか確認した。例えば新任の責任者には、マネジメント研修などの教育プログラムを通じて能力向上を後押しする。サポート対象は管理職だけではない。人員が限られる中で会社の成長を目指すには、全社員のスキルを伸ばし業務の成果を高めることが重要だ。充実した拠点ネットワークを生かすためにも、投資の軸足を拠点整備からスタッフの養成に移していく。トップとして今後も定期的に各地の現場を回り、要望を吸い上げていく。
新しい業務の獲得を目指し
―新事業の柱を育てる。
杉山 2026年度を最終年度とする5カ年の中期経営計画は順調に進んでいる。余力のある間に新しい事業の柱を育てたい。
―実現に向けた施策は。
杉山 事業領域を多様化し、収益基盤を安定させる。主力の建材を中心とした重量物や長尺物といった特殊貨物は現状、建設業界の市況悪化で荷動きが鈍っている。特殊貨物に対応できる同業他社が減少している点を踏まえると決して悲観的には捉えていないが、特定領域に特化し過ぎることはリスクが高いと考える。
―注力する分野は。
杉山 大型機械や半導体関連貨物、EC物流、館内物流など新しい分野の受託を進めている。顧客との信頼関係を構築し取引を増やすには、品質を高めることが欠かせない。
―進ちょくはどうか。
杉山 スムーズに進んでいる。例えば半導体関連貨物では、東北、九州で取扱量を増やしている。引き続き、需要の動向を見極めながら貨物の獲得に向けた努力を重ねる。また、館内物流も成長している。4月には新規に受託した東京都内のショッピングモールの仕事がスタートした。大和ハウスグループの商業施設以外で業務を手掛けるのは初めてとなるが、問題なく展開できている。
記者席 前向きに考え
杉山社長は「ポジティブシンキング」をモットーとする。大和ハウス工業では建築営業を一貫して歩んできた。仕事では、時に失敗やトラブルに直面することがある。
そんな時は「自身を成長させる課題が与えられていると前向きに捉え、必要以上に思い詰めないようにしている」。
趣味はスポーツ。小学生の頃から野球に打ち込んできた。社会人になってからも大和ハウスの社内チームに所属。サードやセカンドを守り、業界団体主催の大会などに出場した。プロ野球は読売ジャイアンツを応援する。「阪神甲子園球場に足を運ぶこともある」。現在はゴルフをプレー。「腕前は楽しむことができるほど」と笑う。