インタビュー

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【 社長インタビュー 】

新中計、25年度に始動 来期は振り返りの年に

2023年12月12日

ダイワコーポレーション
曽根 和光 社長

今期、中期経営計画の最終年度を迎えたダイワコーポレーション(本社・東京)。既存施設の再開発の準備に伴う収益減はあったが、目標は着実に前進している。一方、次期計画は2025年度に始動させる方針。曽根和光社長は「来年度はこれまでの取り組みを振り返った上で、必要な改善を行い、次の足掛かりとするための年としたい」と先を見据える。

―事業環境は。

曽根 23年4~9月期までは取引先の荷動きが良く、期首計画を達成した。一方、下期は川崎営業所(川崎市)が再開発に向けた準備のために稼働を停止する。収益減があるものの、24年3月期の業績予想を達成できる見込みだ。

―今期、3カ年の中期計画「Survive2023」の最終年度を迎えた。

曽根 次を見据えた投資を行うが、それ以外の中期計画目標は前進している。中でも、「顧客の期待以上の高品質サービスを提供する」という最大の目標は、さまざまな取り組みにより手応えを得ている。

―具体的には

曽根 例えば、上期の誤出荷率は0・002%で目標を上回っている。昨年度は一時的に数値が悪化したが、今年度は改善できた。9~11月の安全強化運動中に発生したフォークリフトの事故も、昨年は10件以上あったのに対し、今年は4件と大幅に件数を減少させた。

現場と共に品質改善を推進

―どんな取り組みを展開したのか。

曽根 品質管理を担う本社のQMS推進部を中心に取り組んできた。特に気を付けたのは、上から目線で指導するのではなく、現場と共に改善を進めること。高品質サービスを提供するには、商流から物流を考えることも不可欠で、顧客とのコミュニケーションで信頼を深めると同時に、ニーズを的確につかみ、実行する力を養っていく。

―次期中期計画の考え方は。

曽根 新たな中期計画は25年度からスタートしたい。これまでスピード感を持ってさまざまなことに取り組んでおり、経営環境も大きく変わっている。来年度は一度振り返り、反省と改善を図る年とし、25年度の足掛かりとしていく。

―来年度以降はどんなことに取り組む。

曽根 社内だけでなく、取引先・協力会社を含めた社内外の「和」を強化する。適正コスト収受、取引条件の見直しなどの交渉で、信頼なしに一方的に進めれば、将来に影響する。未来志向の交渉を行うため、関係をより醸成させたい。

人事の活性化で経験積ませ

―この間、次を見据えた動きも計画する。

曽根 社内では人事の活性化に取り組む。社員のキャリアを考えると、人事異動を通じ、より多くの経験を積ませる必要がある。当社は複数企業に出資しており、社員を出向させることでシナジー(相乗)効果を高め、足腰の強化につなげることも考えている。

―投資計画は。

曽根 来年8月に「横浜鶴見営業所」(横浜市)を、25年3月に「千葉八千代営業所」(千葉県八千代市)を開設する。25年末にしゅん工予定の川崎営業所は、常温・冷蔵・冷凍の3温度帯倉庫で、食品関連顧客のニーズに対応する。

―同業他社との協業も加速させる。

曽根 小山企業などと取り組む共同配送は、品質やコスト削減などで効果が出ており、取引先の評価も高い。来年には関東圏で新たな取り組みも始まる。(中堅倉庫6社で創設した)チームソリューションも、デジタルプラットフォーム(基盤)の開発が進み、倉庫会社主導による取引先への提案を進めていく。

記者席 さらなる先を見据え

「走ってきたところを振り返ることも大事だ」。昔、倉庫業青年経営者協議会の場で、松浦通運の馬渡雅敏代表取締役からこんな言葉を掛けられたという。10年ほどたち、この言葉の重みを感じると話す。

入社以来、倉庫事業とサブリース事業を核に、会社の成長をけん引してきた。同じ志を持つ仲間も年々増えている。一方で、企業規模が大きくなる中、取材でよく聞かれたのが「どこかに見落としはないか」との懸念。さらなる飛躍のため、改善を繰り返すことの必要性を常々話していた。

2021年に創立70周年を迎え、次に目指すのは100年企業。来年春にはドライバーの残業上限規制が始まる。物流の大転換期となるタイミングを振り返りの期間と位置付け、成長に向けた足掛かりとする。